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路線バス、広がる貨客混載 岩手県北自動車が夏イチゴ輸送開始

バス停でイチゴの保冷バッグを受け渡しするバス運転手(左)と洋菓子店の工場長

 岩手県北自動車(盛岡市)が、宮古市産の夏イチゴを急行バスで盛岡市に運ぶサービスを始めた。バスやタクシーが乗客と荷物を一緒に運ぶ「貨客混載」は全国で拡大している。乗客の減少で公共交通の路線維持に悩む過疎地や人手不足の運送業界にとって一石二鳥の取り組みだ。(盛岡総局・江川史織)

<少量の荷物も>
 盛岡市の有名洋菓子店「タルトタタン八幡町本店」から徒歩3分のバス停に午後2時、通称「106急行」が到着した。国道106号を通って盛岡−宮古間を2時間15分で結ぶ急行バスだ。
 運転手が車両下部のトランクからイチゴの入った保冷バッグを取り出し、待ち構えていた洋菓子店の君成田誠工場長に手渡した。
 イチゴを載せたバスは週3日運行。宮古市で朝に採れたばかりのイチゴを使ったショートケーキが、翌日には店頭に並ぶ。宅配便に比べて店着が1〜2日早まり、輸送費も3割程度の削減になるという。
 君成田工場長は「10キロ以内の少量荷物を運んでくれる業者がなかなか見つからず、夏季はショートケーキの販売を断念していた。これで地元のおいしいイチゴを味わってもらえるようになった」と話す。
 県北自動車は2015年、ヤマト運輸と提携して荷物を運ぶ貨客混載を始めた。車両を改造し、座席に専用スペースを設けた。営業本部乗合事業部の荒屋敷正剛部長は「空きスペースを有効活用して収入が得られる上、地域の物流にも貢献できる」と強調する。
 国土交通省は昨年9月、路線バスへの貨物積載制限を撤廃。過疎地を対象に貸し切りバスとタクシーによる貨物輸送を許可した。貨客混載の取り組みを後押しした。

<長野はトマト>
 人口約1160人の宮崎県西米良(にしめら)村では今年2月から、宮崎交通(宮崎市)の路線バスが日本郵便とヤマト運輸の荷物を隣町の西都市に毎日届けている。
 1便当たりの乗客が3人という村の路線バスは存続が決定。運送業者は村内での配達に時間を有効利用できるようになった。
 長野県駒ケ根市では6月から週2回、京王電鉄(東京)運行の新宿行き高速バスに新鮮なトマトやホウレンソウを積載する。翌日には京王電鉄グループの都内スーパーに並べて、首都圏での販路拡大を狙う。
 岩手県立大総合政策学部の宇佐美誠史准教授(交通工学)は「過疎地から首都圏への物流のハードルが一気に下がり、地域活性化の可能性が広がった」と評価しつつ「便利なルールだが、運ぶ荷物が増えて人員輸送がおろそかにならないよう気を付ける必要がある」と指摘する。


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2018年07月28日土曜日


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