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「稼げる農業」女性が実践 大館の直売所好調、売り上げ年2億円超「社会とつながる貴重な場に」

収穫直後の新鮮な野菜を棚に並べる石垣さん(左)

 秋田県大館市の体験交流型直売所「陽気な母さんの店」が好調だ。2001年の開設以来、農家の女性たちが自立した経営を実践してきた。ここ数年の年間売り上げは2億円超。地元農産物の魅力を発信する拠点として存在感を増している。

 立地場所は周囲に水田が広がる国道103号沿い。店内は開店直後から活気づく。「今朝取れた新鮮な品が入りました」。威勢のいい掛け声に誘われ、客がトマトや山菜の品定めに夢中になっていた。
 開設に向けて公的助成を受ける予定だったが、市の理解が得られなかったことから補助金などの活用を断念。地元の女性農家100人が出資した。女性が活躍する場をつくり、「稼げる農業」を実現するのが目的だった。自立的な運営を展開し、15年には株式会社化した。
 社長の石垣一子さん(64)は「女性農家が社会とつながる貴重な場になっていると強く感じる」と話す。
 加工場や料理教室、食堂を備え、さまざまな形で農産物の魅力に触れる機会を提供する。客層は市内の60〜80代の女性が中心だが、親子連れや男性の利用者も多い。弁当販売や独自商品の開発、宅配など着々と事業の幅を広げている。
 03年には行政や企業と協議を重ねて店の前にバス停を設置した。客層の高齢化を見据え、来店手段を確保するのが狙いだった。
 冬場は雪中貯蔵して糖度を上げた野菜など雪国の魅力が詰まった商品をそろえるなど、季節ごとに仕入れの工夫も欠かさない。
 こうした努力の積み重ねが実り、売り上げは年間1億円以上を維持してきた。8年ほど前に販売が伸び悩むと、在庫量を定時メールで会員の生産者に知らせるシステムを導入。ニーズを捉え、人気商品の品切れを回避することで、その後の売り上げは年2億円以上で推移している。
 大手スーパーの撤退や商店街の衰退が続く市中心部に支店も構える。ここでは総菜が人気商品。単身の高齢世帯が増えているためか、需要は年々高まっているという。
 運営に携わる会員の高齢化も少しずつ進み、若手会員の確保が課題の一つ。今後は男性農家の本格的な受け入れも含めた経営改革を進める考えだ。石垣さんは「移動販売やキッチンカーなど新事業を推進し、人口減少が進む地域を支えたい」と意気込む。


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2018年07月29日日曜日


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