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<脈動 参院選まで1年>(中)もろ刃の剣/改憲突進 地方に不安

党本部への公認申請が決まり、記者会見に臨む大沼氏(中央)、鈴木氏(左)=山形市

<総裁選で争点>
 「宿願」の実現へと踏み込まれたアクセルが、苦い記憶を呼び覚ます。
 通常国会が事実上閉会した20日夜。記者会見に臨んだ首相安倍晋三は、自衛隊の明記を盛り込んだ憲法9条改正について見解を問われ「総裁選で大きな争点になる」と高らかに宣言した。
 9月に予定される自民党総裁選は今月24日に党政調会長岸田文雄が不出馬を表明し、安倍優勢の流れがさらに強まった。安倍陣営は圧勝で連続3選を決め、来夏の参院選、改憲へと突き進む青写真を描く。
 「総裁選、頼むぞ」。官房長官菅義偉は22日、参院選宮城選挙区の自民現職和田政宗(43)が仙台市で開いた会合に出席後、党県連幹部に指示を飛ばして手綱を締めた。和田は来夏、比例代表で2期目を狙う。

<政府に恨み節>
 世論を二分する改憲は選挙戦で、もろ刃の剣になる恐れをはらむ。「街頭で憲法改正を訴えても風当たりは厳しい」。3日、仙台市を訪れた党幹部に党県議が不安を漏らした。
 森友、加計学園問題に相次ぐ省庁不祥事、そして改憲。強気の政権運営が生み出す波風が、地方組織を翻弄(ほんろう)し続ける。
 与党が改選過半数を確保した2016年参院選。東北の6選挙区で自民は1勝5敗の惨敗を喫した。政権が強力に推し進めた環太平洋連携協定(TPP)への反発が、支持離れの一つの引き金になった。
 東北で唯一、勝ち星を挙げた党秋田県連の副会長鈴木洋一は「参院選は中央政局の影響をもろに受けやすい」と指摘する。現職を落とした党青森県連の幹事長神山久志からは「政府が抱える問題はいち早く収束させてほしい」と恨み節が漏れた。

<足元なお脆弱>
 山形選挙区では自民現職の大沼瑞穂(39)が再選を目指す。党県連会長の鈴木憲和(衆院山形2区)は「党の参院議席を死守する。絶対負けられない」と力を込めた。
 大沼の公認申請に際し、地方の一部議員や支部に地域密着度が低いとする不満が渦巻き、公募を模索する動きが表面化。14日にあった記者会見で大沼は「地域の皆さんと細かく懇談できず、大いに反省している」と神妙な面持ちで語った。
 16年参院選で自民が苦杯をなめた選挙区はいずれも巨大与党に依存し、自らの支持基盤が脆弱(ぜいじゃく)な候補だった。前回選挙で露見した危うい足元は「1強」の看板に覆い隠されたまま、来夏の決戦が近づく。
 通常国会終盤、政府与党はカジノ解禁を含む統合型リゾート施設(IR)整備法や参院定数6増の公選法改正の採決を強行。「党利党略でしかない」と野党から批判を浴びた。
 第1次安倍政権は07年参院選で大敗し、退陣につながった。宮城県内の自民関係者は「国民を甘く見ている。こんなに好き勝手にやっていると必ずしっぺ返しがある」と警鐘を鳴らす。
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 「安倍1強」ムードが与党内を支配する中、参院議員の任期満了まで1年に迫った。政権奪還の余勢を駆って自民が圧勝を収めた13年、共闘態勢を築いた野党が反転攻勢に出た16年。民意が振り子のように行き来する東北の前哨戦から来夏を占う。
(敬称略)


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2018年07月29日日曜日


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