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<東北の本棚>地方都市の交通史考察

◎昭和を走った仙台市電 仙台市電アーカイブ委員会 著

 通勤や通学、買い物や七夕まつりの見物。仙台市電は1926年から半世紀にわたり、市民の足として活躍した。廃止から40年以上過ぎても市民の思い出に残る。本書は歴史的な論考に加え、写真や路線図を多数収めた記録集だ。
 19年、市中心部で南町大火が発生し、復旧を兼ねて市電開設の機運が高まった。26年、仙台駅前−大町一丁目間など2路線が開業。太平洋戦争中は車両の不足に苦労し、仙台空襲による被害を受けながら運行を続けた。64年度、1日当たりの乗客が9万9000人を超え、最盛期を迎えた。急増した自動車に軌道への進入を認めて定時運行が難しくなり採算が悪化。76年に惜しまれながら廃止された。
 「市電とまち、ひと」と題した論考が興味深い。循環線や長町線といった各路線の開設は新道建設や道路の拡幅と連動し、現在の街並みに引き継がれたことを実証。既存の道路を利用するバスとの違いが分かる。「幻の青葉軌道」「仙台市電と秋保電鉄」といったコラムも充実している。
 著者の仙台市電アーカイブ委員会は元仙台市博物館職員の菅野正道さんら市電ファンで構成。巻頭で「今昔物語16景」と銘打ち、宮城野区で印章店を営む庄子喜隆さんが70年代に各停留所などで撮った市電の写真と、青葉区の画家柴田治さんが同じ場所で近年スケッチした水彩画を対比させた。街の移り変わりがよく分かる。
 河北新報出版センター022(214)3811=1512円。


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2018年07月29日日曜日


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