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港の社交場、希望照らす 南三陸に震災後初のスナック開店「夢の続きが始まった」

笑顔で客をもてなす小山さん(右)と大内さん

 東日本大震災で被災した宮城県南三陸町志津川で、7年ぶりにスナックの明かりがともった。「地元で再開できるとは思っていなかった。かつての常連客の後押しで夢の続きが始まった」。スナック「愛に恋」をオープンさせたママの小山智美さん(49)は古里で念願の再出発を果たした。
 スナックは海の近くでかさ上げされた商業地に建つ。28日夜、開店を待ちわびた客が続々と訪れ、約50平方メートルの店内ににぎやかな笑い声が響いた。
 小山さんは開店目前に体調を崩して今月中旬に手術を受けたが、28日にオープンしたい理由があった。この日は長男裕人(ゆうと)さんの29歳の誕生日。無事開店できた安堵(あんど)感に浸りながら、酒を飲んだりカラオケを歌ったりして楽しむ客の姿をうれしそうに見詰めた。
 震災前は旧町役場近くでスナック「オレンジ」を義姉の大内恵子さん(53)と営んでいた。水産業が基幹産業の町での商売。漁師の客も多く、小山さんは「長靴を履いたままや腕に魚のうろこを付けて来るお客さんもいた」と懐かしむ。
 小山さんは志津川で生まれ育ち「いつか自分の店を持つのが夢だった」。だが独立から4年目、震災に見舞われた。
 借りていた店舗が津波で流失し、震災後は独立前に勤めていた登米市内のスナックで働いた。地元での再開は諦めていたが、昨年、登米の店を訪れたオレンジ時代の常連客に背中を押された。
 志津川にかつて15軒ほどあったスナックは震災の影響で多くが廃業に追い込まれた。町民から社交の場でもあるスナックの復活を望む声があっただけに、町のにぎわいづくりにつながりそうだ。
 「気軽に会いに来てもらえるアットホームな店にしたい」と小山さん。大内さんは「ママを支え、店を盛り上げたい」と語る。地元で愛される店を目指し、再び二人三脚で新たな一歩を踏み出した。


2018年07月30日月曜日


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