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震災で亡くした息子思い成長見守る 岩手の男性、熊本地震で被災の少年と交流続く

住田町のイベントで焼いたアユを一緒に味わう(左から)健翔君、岩城さん、萌来さん

 岩手県住田町の会社員岩城和彦さん(58)が、2016年の熊本地震で被災した少年と交流を続けている。東日本大震災で高校2年だった三男を失った後にもたらされた出会い。成長を見守ることが、新たな生きがいになった。
 交流するのは熊本市南区の小学3年前田健翔(けんと)君(8)。岩城さんが17年2月に訪れた同市の仮設住宅に、家族で身を寄せていた。
 無邪気な姿に目を奪われた。「20歳になるまで交流させてほしい」。そばにいた母佳代子さん(41)に思わず申し出ていた。
 <サッカーもべんきょうもおてつだいもがんばってください 岩手からおうえんしています>。以降、健翔君と姉の中学3年萌来(もえな)さん(15)、兄の中学2年琉翔(りゅうと)さん(13)の誕生日には、手紙と3人分のプレゼントを贈るなどしている。
 健翔君も覚えた漢字を使って手紙や年賀状をくれる。<ぼくは3年3組になりました。友だちとなかよくあそんでいます>。最近届いた暑中見舞いでは、岩城さん宅の住所も自分で書けるようになっていた。
 岩城さんの三男直俊さん=当時(17)=は、陸前高田市内の高校に通っていて津波に遭った。
 「直俊の代わりではないが、(健翔君と)重ねて見る部分もある」。励ますつもりが、逆に元気をもらっている自分に気付く。
 7月には健翔君が家族で岩手を訪れた。28日に住田町で開かれたイベントに一緒に参加し、アユのつかみ取りや川遊びを楽しんだ。
 約5カ月前に熊本で会った際は、健翔君がどこかよそよそしく感じた。今回は新幹線の改札口で岩城さんを見つけると、真っ先に駆け寄ってくれた。温泉にも行って体を洗うなどし、心の距離が縮まったようでうれしかった。
 地震や台風のたびに前田さん一家の安否確認を欠かさない。震災時、津波を警戒しなかった後悔の念が岩城さんを駆り立てる。
 きょうだい3人は、他の被災地のために募金活動に参加したこともある。「人を気遣い、自分も備えられる人になってほしい」。岩城さんが願った。


2018年08月01日水曜日


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