福島のニュース

<東北甲子園物語>「雲はわき 光あふれて・・・」福島出身・古関裕而が大会歌

古関裕而直筆の「栄冠は君に輝く」の楽譜(表紙)と古関の写真=福島市の古関裕而記念館

 「雲はわき 光あふれて」で始まる夏の全国高校野球選手権の大会歌「栄冠は君に輝く」の作曲者が福島市出身の古関裕而(1909〜89)であることは地元で知られており、JR福島駅の新幹線の発車メロディーとなっている。
 「古関らしい透明感や清潔感にあふれるメロディーと、『若人よ、いざ』など詩の内容が相まって、今でも多くの人の心を打っている」。福島市の古関裕而記念館の学芸員氏家浩子さん(61)は解説する。
 曲が誕生したのは1948(昭和23)年の第30回大会。学制改革で中学野球から高校野球に名称が変更されたのに合わせ、古関に作曲が依頼された。歌詞は全国から5252の応募があった中から、加賀大介の作品に決まった。
 古関は戦前に阪神タイガースの歌「六甲おろし」、戦後に東京五輪の「オリンピック・マーチ」などを作曲し、スポーツは得意ジャンルの一つだった。
 48年7月ごろ、大阪・藤井寺球場での予選大会を観戦後、甲子園に赴いた。「無人のグラウンドのマウンドに立ち、ここに繰り広げられる熱戦を想像しているうちに、メロディーが湧き、自然に形作られてきた」。自伝「鐘よ鳴り響け」(日本図書センター)で回顧している。
 「この作曲で古関自身が慰められたと思う」と氏家さん。古関は「戦時歌謡」というジャンルの作曲も多く手掛けた。「勝ってくるぞと勇ましく」と出征兵士を送り出した「露営の歌」もそうだ。
 「自分の曲で戦地に送られた多くの若者が亡くなったことに心を痛めていた。『栄冠は君に輝く』は高校球児のみならず、若い世代全てへのエール」と氏家さんはみる。

 全国高校野球選手権が100回大会を迎える。甲子園で約1世紀にわたり繰り広げられてきた球児たちの熱戦。その舞台裏にある東北ゆかりの秘話を紹介する。(野仲敏勝)


2018年08月03日金曜日


先頭に戻る