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秋田の中小企業、跡継ぎ不足深刻 県や金融機関が支援強化に知恵絞る

多くの経営者が足を運んだ経営セミナー。事業承継は喫緊の課題だ

 秋田県内の中小企業で、後継ぎ不在が深刻化している。承継を見通せない事業所は7割に迫り、金融機関や行政は地域経済の基盤を揺るがす企業の衰退を食い止めようと支援強化に知恵を絞る。一方で承継を事業発展につなげようと、プラス思考の実践も広がる。(秋田総局・鈴木俊平)

<成長の選択肢>
 秋田市で不動産業を営む70代男性は、親族間で事業を引き継ぐつもりだった。だが、東京で働く40代の長男に帰郷の考えはない。
 手堅い経営で好不況を乗り越えてきた男性は「自分が創業した会社で思い入れが強い。どんな形であれ存続させたい」と語る。企業合併も視野に入れ、承継の道を探る。
 経営者らの事業承継ニーズの高まりを踏まえ、秋田銀行は1日、秋田市で経営セミナーを開いた。
 登壇した日本M&Aセンター(東京)の笠置正人金融法人部長は「企業合併の検討は、業績不振になってからでは遅い。承継後を見据えた成長戦略の選択肢として考えてほしい」と強調した。参加した約40人は真剣な表情を崩さなかった。
 帝国データバンクによると、2017年の秋田県内の後継者不在企業は68.6%と全国平均を上回る。09〜14年の間に5000近い中小企業が姿を消した。
 著しい人口減少で市場縮小も予想される中、後継者が見つかれば事業がうまく引き継がれるとは限らない。にもかかわらず、金融機関や県は事業拡大を念頭に置いて支援策を打ち出す例もある。

<相乗効果期待>
 秋田銀は昨年、外食チェーンのドリームリンク(秋田市)による、かづの銘酒(鹿角市)の完全子会社化を支援した。顧客企業のニーズを把握し、合併・買収(M&A)などを通じて経営改善につなげる同行独自の取り組みだ。
 地域唯一の酒蔵で後継者不在が悩みの種だったかづの銘酒と、食の総合商社を目指すドリームリンクを引き合わせた。後継問題に区切りを付け、県産ウイスキー開発を仕掛けるなど事業の幅を広げる成果に結び付けた。
 同行の事業承継支援先は16年の83社から17年は102社に増加。今年6月にはソリューション営業室を新設し、相続準備の支援に力を注ぐ。吉田正陽室長は「付加価値を生み出せる企業は多く、手を携えれば相乗効果をもたらすことができる」と話す。

<全国初の提携>
 県信用組合は昨年12月、ネット上で事業承継・M&Aを支援する国内最大級のサイトを運営するアストラッド(東京)と全国で初めて業務提携した。同社の企業情報を生かし、後継者不在などの課題を解決する。
 県は本年度、県北、県央、県南に専門家を常駐させた。親族・従業員間の事業承継を重点的にサポートする。県産業政策課は「ニーズを掘り起こし、地域を支える中小企業の存続を実現したい」と意気込む。


関連ページ: 秋田 経済

2018年08月04日土曜日


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