宮城のニュース

<ニュース深掘り>西日本豪雨での職員派遣 災害対策検証の契機に

災害廃棄物が集まる1次仮置き場=7月21日、倉敷市真備町地区

 西日本豪雨から2週間ほどたった7月下旬、被災した岡山県に入った。現地派遣された宮城県、仙台市の職員の支援活動の取材を通し、東日本大震災で得られた知見が生かされていると感じる一方、行政が掲げる計画の実効性の乏しさも見えてきた。国が導入した対口(たいこう)支援(カウンターパート)方式の効果も併せ、大規模災害への備えや支援の在り方を改めて検証する契機としたい。
 深刻な浸水被害の発生から10日以上が過ぎても、岡山県は災害廃棄物の処理について方向性を示せずにいた。同県の担当課長は、水に漬かった大量の廃棄物を目の当たりにして、「計画は絵に描いた餅だった」と打ち明けた。
 計画とは2016年3月に県が策定した「災害廃棄物処理計画」を指す。南海トラフ地震を想定し、災害廃棄物の仮置き場候補地となる県有地などをリストアップしていたが、県は使用の可否など現状確認はしていなかった。
 同県倉敷市真備町地区は約3割が浸水。家々から運び出される廃棄物は行き場を失った。地区内の国道沿いにうずたかく積まれ、緊急車両の通行を妨げかねない事態も招いた。
 震災で、災害廃棄物処理が復旧への第一歩であることが証明された。処理計画は震災を教訓に国が各自治体に策定を求めたものだが、「計画作成自体が目的になっていた」と言われても仕方ないだろう。
 廃棄物処理や住民避難など、東北の自治体も災害に備えた多様な計画を構築している。果たして緊急時にそれらが有用なのだろうか。不断の検証の必要性を感じた。
 仙台市の岡山県総社市に対する復旧応援には、総務省が今春に運用を始めた対口支援方式が初めて適用された。罹災(りさい)証明発行などで一定程度機能してはいたものの、震災で蓄積したノウハウが豪雨被災地で生かされたとは言い難い面もあった。
 仙台市は市内の建設業者らと協力し、災害廃棄物の迅速な回収と処理を両立させる「仙台方式」を伝えようとしたが、総社市では十分な業者数を確保できなかった。同市に廃棄物処理に詳しい職員も少なかった。
 自治体が民間賃貸物件を借り上げるみなし仮設住宅の確保でも限界があった。物件が十分になく、仙台市の支援は住民説明会の段取りといった手助け程度にとどまった。
 背景には都市規模の差がある。人口7万の総社市に対し仙台市は108万。産業構造などの違いもあり、震災時の対応策をそのまま当てはめるのは難しかったようだ。
 宮城県や仙台市を含め、今回、東北の多くの自治体が豪雨被災地に職員を派遣している。復旧の促進、被災者の生活再建が最大の目的とはいえ、使命はそれだけにとどまらない。
 局地化、激甚化する豪雨災害は全国どこでも起こり得る。派遣職員が現地で感じた課題を持ち帰り、足元の災害対策に反映させる意味は大きい。今回の活動を踏まえて各種計画などを検証し、立案、実施、改善するというサイクルを回して、より安全な地域づくりを目指してほしい。
(報道部・樋渡慎弥、横川琴実)

[対口支援方式]「対口」は中国語で「一致する」「合う」を意味する。2008年の中国・四川大地震で、中国政府が被災しなかった省や直轄市に被災市県とのペアを組ませ、支援に当たらせたことで知られるようになった。16年4月の熊本地震で九州地方知事会が導入。派遣元に指定された自治体から1000人以上の職員が被災自治体に入った。制度化を検討していた総務省が今春、本格的な運用を始めた。


関連ページ: 宮城 政治・行政

2018年08月06日月曜日


先頭に戻る