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ヒロシマの記憶を次代へ 被爆3世・久保田さんら有志が仙台で企画展

2017年8月に東京・世田谷区で開かれた「継ぐ展」で原爆や広島について学ぶ子どもたち
「継ぐ展」を発案した実行委代表の久保田さん

 戦争を知らない世代が被爆地・広島の記憶をつなぐ企画展「第三世代が考えるヒロシマ『 』継ぐ展」(実行委主催)が10〜15日、仙台市青葉区のせんだいメディアテークで開かれる。1945年の広島原爆投下から73年。実行委代表で被爆3世の久保田涼子さん(35)=東京都=は「平和について考え、自分にとって次世代に継ぐべき『何か』を探してほしい」と願いを込める。

 継ぐ展は2015年に始まり、東北での開催は初めて。参加して戦争と平和を学べるのが特色で、原爆に関する写真展示や被爆者との対話などがある。夏休みの自由研究教室など、親子で関心を持ってもらえるよう工夫を凝らした。
 継ぐ展は広島市出身の久保田さんが発案した。4年前、井上ひさしさんの朗読劇「父と暮せば」で広島弁の指導に携わったのがきっかけだ。
 原爆投下後の広島を父と娘の姿を通して描いた作品に触れ「8月6日の出来事はよく知っているけど、その後広島の人たちがどう生きたのかは全く知らない」。学校で原爆や戦争を「教科書的な知識」としてしか学んでこなかった久保田さんの気付きだった。
 脳裏に焼き付くのは、進学した東京で見た広島原爆忌当日の光景だ。電車で楽しそうに携帯電話を触る女子高生たち。広島では全てのテレビ番組が平和記念式典の様子を伝え、路面電車は午前8時15分に止まった。広島の静けさと東京のざわつきに違和感を覚えた。
 「戦争を知らない私たちが共に学ぶ場所づくりならできるかもしれない」。戦後70年を迎えて自問を繰り返し、継ぐ展の計画にたどり着いた。
 ウェブデザイナーの久保田さんはクリエーター仲間と広島の資料館を訪ねたり、被爆者に話を聞いたりして、何を知らないのかを一から見詰め直した。被爆者で91歳の祖母の体験も初めて聞いた。
 過去を知り、学び、聞き、自分なりに答えを出す−。久保田さんは「73年前の出来事で終わるのではなく、今の時代と結び付けて考えてほしい」と言う。だからこそ、企画展の自由研究教室では「戦争は何が原因で起こるのか」などと問い掛け、子どもに答えを探してもらう。
 久保田さんは「広島のことを学ぶのであれば、現地の資料館に行く事前学習のような感じで気軽に訪れてほしい」と呼び掛ける。

◎自由研究に活用を

 企画展は「ヒロシマの記憶を継ぐ人インタビュー」展示として、仙台市在住の被爆者木村緋紗子さんら27人のインタビュー内容の一部をパネルで紹介する。「絵で読む広島の原爆(福音館書展)」の原画展などもある。
 イベントは国内外で証言活動を続ける被爆者梶本淑子さんとの対話や、被爆体験を次世代に引き継ぐ活動をする「伝承者」と展示を回る企画も実施する。20項目の質問から成る自由研究ツールは事前に「継ぐ展」のウェブサイトからダウンロードできる。定員制のサポート教室もある。
 会場はせんだいメディアテーク5階で午前10時〜午後7時(最終日は午後5時まで)。入場無料。連絡先は実行委080(1916)8638。


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2018年08月08日水曜日


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