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<コメ流通の変 減反廃止元年>(中)事前契約/安定売買 生産者も安心

商談ブースで外食産業やコメ販売業者が商談成立に向けて情報交換した業務用米マッチングフェア=7月、大阪市

 業務用米など値頃感のあるコメが不足している。国による生産調整(減反)が2018年産から廃止され、コメの生産量や価格の先行きは見えにくい。生産現場と同様に、加工食品メーカーや外食産業、輸出業者も知恵を巡らし、対応を模索する。(東京支社・小木曽崇)

<双方に利点多く>
 「最近、コンビニエンスストアにパスタ弁当が多い。コメはパスタに比べて価格が高いからだ」
 7月上旬、大阪市であった業務用米マッチングフェア。コンビニや弁当の中食や外食産業に米飯を提供する業者の業界団体「日本炊飯協会」(東京)の福田耕作顧問は、国産米の競争力低下を懸念した。
 業務用米の値上がりで、実需者は調達費上昇を相殺する努力を強いられた。コメ離れの兆しを感じ取る福田氏は、国産米市場の縮小を防ごうと「農家、実需者ともにコストを抑えられる複数年の直接取引をすべきだ」と提言した。
 複数年契約を含む事前契約は安定した品質と価格で売買できるという。双方に利点は多いが、2016年産米に占める事前契約の比率は41%にとどまった。

<使い道を明確に>
 こうした中、大手米卸の木徳神糧(きとくしんりょう)(東京)は、生産者との関係を深めることに力を入れる。
 18年産からぎふ農協(岐阜市)、「カレーハウスCoCo壱番屋」を展開する壱番屋(愛知県一宮市)と連携し、多収の新品種「北陸263号」の試験栽培に乗り出した。
 従来、コメは多くの生産者から農協など集荷団体に集められ、米卸を通じて飲食店や小売店に納入された。生産者は自分のコメがどこでどう使われているか、把握しにくかった。
 木徳神糧の取り組みは、水田に「壱番屋」の黄色いロゴの看板を掲げる。三沢正博専務は「使い道が明確で生産の喜びにつながる。業務用米確保のため、事前契約を強化する必要があった」と強調する。

<密な関係不可欠>
 加工食品メーカーにとっては品質維持のため、生産者と顔の見える関係を築くことが不可欠だ。
 「ザ★チャーハン」などの売れ行きが好調な味の素冷凍食品(東京)は、パラパラとして粘りのないコメを求める。こうした加工向きのコメはブランド米と価格帯が近づくが、同社の横井俊宏原材料部長は「粘りのあるコシヒカリなどのブランド米は加工に不向き。価格が同じでも使う予定はない」と言い切る。
 加工向きのコメは一般消費者にはなじみの少ない銘柄が多い。「収穫しても売れるか分からない」という不安を減らすため、事前契約する生産者を工場に招くとともに、同社の社員も田植えや稲刈りに出向く。
 「最終製品を見せて安心してもらうことが大事。ブランド米と田植え期が異なるコメであれば生産拡大が可能で、収入増につながる」と横井部長。生産者と社が共に利益を得るウィンウィンの関係構築を図る。


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2018年08月09日木曜日


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