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和算家の旧宅、保存で誤算 屋根に穴、壁は剥落…傷みで散々 歴史団体カンカン「保護とは呼べぬ状態」

鉄骨で支えただけの胤秀旧宅
建物の内部は壁が剥がれ落ち、屋根の穴が放置されている

 藩制期の高名な和算家だった一関藩士千葉胤秀(たねひで)(1775〜1849年)の旧宅が極端な老朽化に直面している。一関地域に今日まで伝わる和算文化の礎を築いた人物ゆかりの建物だけに、歴史愛好家団体は一日も早く適切な修繕を行うよう市に求める。
 岩手県一関市花泉町にある「千葉胤秀旧宅」は築200年以上。一関地域の農家屋敷特有の「四間取(よまど)り」の様式を残す市の有形文化財だ。
 千葉家の養子となった胤秀が1801年から二十数年間過ごし、近隣の農民に和算を広める教室としても使われた。1989年までは修繕を繰り返しながら子孫が実際に住んでいた。
 一時は取り壊しも検討されたが、保存を求める地元の声もあって千葉家が旧花泉町に寄付。住民有志も寄付してかやぶき屋根のふき替えが行われた。
 しかし、その後は鉄骨のつっかい棒で建物を支えた以外に目立った修繕は行われず、屋根の穴や壁の剥落が目立つようになった。
 今年6月、岩手県南史談会(一関市)など3団体が屋敷の解体調査と当時の姿での復元保存を求める請願を市議会に提出したが、継続審査とされた。
 史談会の大島晃一事務局長は「独特の農家様式を残し、一関の和算文化を伝える重要な文化財が、保護とは呼べない状態で残されている」と批判する。
 市文化財課は「対策の必要性は認識しているが、財源の問題もある」と釈明しつつ「中長期的な視点で保存計画を考えたい」と話す。


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2018年08月20日月曜日


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