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<甲子園>東北勢総評 金足農躍進、旋風起こす 悲願まであと一歩

 第100回全国高校野球選手権大会は、金足農(秋田)が秋田県勢として103年ぶりの準優勝を果たして幕を下ろした。大旗はまたもや東北に届かなかったが、公立農業高が巻き起こした旋風は全国の高校野球ファンを大いに沸かせた。
 秋田大会から一度も選手交代をせず、地元出身の9人だけで勝ち上がった。プロ注目の主戦吉田は、1回戦から4試合連続で2桁奪三振の剛腕ぶりを発揮。最速150キロの直球と抜群の制球力で強豪をねじ伏せた。
 打線は伝統のバント戦術で確実に好機を広げ、粘り強く戦う姿勢を最後まで貫いた。準々決勝は2点スクイズで逆転サヨナラ勝ちする大胆さもあった。
 躍進の背景には秋田県が取り組んできた「強化プロジェクト」がある。夏の甲子園で13年連続初戦敗退したことをきっかけに始まり、大学教授や社会人野球経験者をアドバイザーに招いて講習会を実施してきた。吉田もデータ分析を受けてきた一人だ。
 決勝は吉田が脚に不調を訴えて途中降板した。一番対戦したかった大阪桐蔭相手に万全な状態で臨めなかったのは無念だったろうし、ファンをもがっかりさせた。
 2003年夏に東北(宮城)を率いて準優勝した若生正広さんは「決勝の前に一日でも休養日があったら良かったと思う」と話す。選手にとって一生に一度の舞台だ。甲子園に限らず地方大会でも、余裕のある大会日程を考える必要があるのではないか。
 史上最多の56校が出場した今大会で東北勢は苦戦を強いられた。初戦を突破したのは、金足農と八戸学院光星(青森)のみ。昨夏8強の仙台育英は浦和学院(南埼玉)の好投手渡辺を捉えられず完敗し、全国最長12年連続出場の聖光学院(福島)は報徳学園(東兵庫)を相手に1点差に泣いた。
 花巻東(岩手)は投手陣の調子が上がらず、強みとした継投ができないまま延長十回で力尽きた。15年ぶり2度目の出場の羽黒(山形)は、公式戦初先発の2年生右腕篠田が力投したが奈良大付打線に屈した。
 01年以降、決勝に進むこと春夏合わせて8回。東北勢の地力は着実に上がっている。大旗が白河の関を越える日は遠くない−。限りある戦力で躍進を遂げた金足農の戦いぶりを見て、そう感じた。(今愛理香)


2018年08月23日木曜日


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