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<チャイム再び 福島・富岡小中の1学期>(3)2校体制/仲間意識を強めた桜

ベニシダレザクラの苗を植樹する中学生=6月27日、福島県富岡町

<つながり強化>
 福島県富岡町の富岡小中学校は2校体制だ。地元で授業を再開した富岡校(児童生徒17人)のほか、東京電力福島第1原発事故で避難先となった同県三春町に三春校(22人)がある。
 6月27日、2校のつながりを強める桜の植樹が、富岡校敷地内であった。中学2年の渡辺亜美さん(14)は「三春のみんなも同じ学校の仲間」という意識が芽生えた気がした。
 渡辺さんは原発事故後、郡山市に避難し、市内の小中学校に在籍した。
 通学経験のない三春校を初めて訪れたのは5月の運動会練習会。校舎を見学した際は「ここも同じ学校なんて、何だか不思議」と実感が湧かない様子だった。

<「学んだ証し」>
 そんな意識が桜の植樹で変化した。50センチほどの苗木は、富岡町で有名な「夜の森の桜」の品種ソメイヨシノではない。「滝桜」で知られる三春町のベニシダレザクラだ。
 三春校中学3年の横田翼さん(14)と持舘さくらさん(15)が「富岡と三春。二つの古里をつなぎたい」と中学1年時から丹精込めて育ててきた。
 「富岡の子どもたちが三春で学んだ証しになる」と横田さん。持舘さんは「大人になって富岡校を訪れて桜を見たら、きっと感慨深い」と話した。
 先輩たちの姿や考えに触れ、渡辺さんの思いは膨らんだ。「三春校の仲間と、もっと一緒にいろんなことがしたい」。植えた桜は「今度は私たちが大切に育てていく」と心に決めた。
 渡辺さんは例外ではない。富岡校の児童生徒17人は全て三春校に通った経験がない。両校にとって連携は、多様な意見に触れる観点からも欠かせない。

<同時授業実施>
 そのための試みが7月2日、小学校の朝の会であった。富岡校では大型スクリーンに三春校の児童たちが映し出された。
 初めての経験に、子どもたちは少し緊張しながら、一緒に校歌を歌ったり、近況を伝えたりした。富岡校1年の鈴木里緒菜さん(6)は「きのうは友達と水遊びをしました。楽しかったです」と笑顔で話した。
 さらに5.6年生の国語で、2校同時授業も試験的に実施した。画像の粗さや音声の遅れなど、大成功とはいかなかったが、岩崎秀一校長(59)は「初めてにしては上出来」と手応えを口にした。
 三春校は2011年9月に開校し、原発事故で避難した子どもたちの支えになってきた。今年4月の富岡校開校を受け、22年3月での閉校が決まっている。それでも、閉校まではまだ3年半ほどある。
 テレビ会議システムによる2校をつなぐライブ授業は2学期から本格化する。
 岩崎校長は「離れていても同じ学校の仲間という意識を育むことが大切。仲間が倍に増えることは子どもたちの成長にとって大きい」と強調する。


2018年08月24日金曜日


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