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武ちゃん食堂 本拠地で復活 駅前にぎわい再び 福島・楢葉

新店舗の前に立つ佐藤茂樹さん(左)。妻美由紀さんが持つのは店のキャラクター「武ちゃんマン」の手作り人形

 東京電力福島第1原発事故で一時全町避難した福島県楢葉町のJR常磐線竜田駅前で24日、「武ちゃん食堂」が約7年半ぶりに営業を再開する。町の玄関口は商売の明かりが消えたまま。仮設店舗から本拠地に戻る店主夫婦は「再び、駅前ににぎわいを」と願う。

 再開するのは2代目店主の佐藤茂樹さん(55)と妻の美由紀さん(53)。先代の武夫さん(故人)が1971年に構えた建物は避難生活で傷んだため解体し、同じ竜田駅前に自宅併設の店舗を新築した。
 2人は原発事故後、いわき市に避難。2014年7月、町役場前に設けられた仮設商店街で昼の営業を再開した。仮設閉鎖が迫った今年5月まで、除染や復興工事の従事者らの食を支えた。15年9月の避難指示解除後は、帰還住民の憩いの場にもなった。
 町が復興拠点「笑(えみ)ふるタウンならは」に今年6月開設した商業施設への出店を誘われたが、竜田駅前での本格再開を決断した。茂樹さんは「元々の場所なので安心できる。ずっと見ていた景色がある」と語る。
 経営には不安もある。人の流れは復興拠点に移り、竜田駅前で再開した飲食店や商店はまだない。人口に対する町内居住者の割合も回復したとはいえ、7月末で48.9%という状況だ。
 美由紀さんは「復興拠点1カ所だけでなく、あちこちに小さな店が再開することで人の動きが広がり、町全体ににぎわいが戻ることになる」と前を向く。
 手狭な仮設店舗でできなかった揚げ物を再開し、カツ丼やカツカレーがけのチャーハンを復活させる。先代から受け継ぐたれを使う看板のニラレバ定食を含め、メニューは約20種に増やし、以前に近づける。
 「帰町した住民も事情があって帰れない人も、駅に降りた町民が店を見て古里を感じてもらえればいい。無理をせず、細く長くやっていきたい」と美由紀さんは明るい。
 当面の営業は午前11時〜午後2時、日曜定休。かつてはほぼ年中無休で、深夜まで営業することもあったが、今後のスタイルはゆっくりと決めるという。


2018年08月24日金曜日


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