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<この人このまち>ゲレンデ逆走マラソン 奇抜な企画で町に希望を

佐藤勇一(さとう・ゆういち)1958年、岩手県紫波町生まれ。東京デザイン専門学校卒。78年、リステルグループの長治観光(東京)入社。2016年からホテルリステル猪苗代総支配人。

 「登り切るまで、振り向くな!」。ランナーの尻をたたく厳しい宣伝文句が、福島県猪苗代町の「ゲレンデ逆走マラソン」の特徴を表している。見上げるような急斜面を駆け上がる変わり種の大会。実行委員会事務局長の佐藤勇一さん(60)に聞いた。(福島総局・関川洋平)

◎ゲレンデ逆走マラソン事務局長 佐藤勇一さん/「何もしなければ何も変わらない。継続が大切」

 −6月のレースに参加しました。きついですね。
 「5〜10月に月1回、町内6カ所のスキー場で順番に開催しています。5キロ、10キロなど距離別で、はって登るような場所もありますが、苦しさが癖になるよう。『二度と来ないと誓ったのにまた参加していた』という人が結構いますよ」

 −始まったきっかけは。
 「東京電力福島第1原発事故後、勤務先のホテルで1万人のキャンセルが出て予約が空っぽに。動揺するスタッフの希望になればと2011年6月、初めて企画しました。『ばからしいけど面白い』と褒められ、手応えを感じました」
 「町全体の安全を発信するため、他のスキー場にも声を掛け、11年10月から6カ所を転戦する形になりました。マラソン大会の運営経験はなく、誘導ミスなど最初は失敗ばかりでした」

 −7年がたち、風評被害の状況は変わりましたか。
 「私のホテルでお客さまは事故前の7割程度。なかなか元通りとはいきません。福島が汚染されたと思っている人に空間放射線量などの数字を示しても、心の問題を覆すのは難しい。風評の根強さを感じます」
 「何もしなければ何も変わらない。継続が大切。大会のスポンサー企業にも『細く長く支援してほしい』とお願いしています」

 −今年3月には一般財団法人地域活性化センターの「ふるさとイベント大賞」で最優秀賞に輝きました。
 「最初は身内も交えて何とか成立するような小さなイベントでした。こんな奇抜な大会が認められたことが、何よりうれしかった」
 「参加者は1年目の400人から、7年目の17年度で1600人になり、30人以上が6レースにフル参加しています。今後も内容を改善しつつ、全てのランナーが楽しめる大会として運営していくつもりです」

 −10月のレースに初めて、フルマラソンの部が加わります。ゲレンデの往復を繰り返す。完走者は出るでしょうか。
 「制限時間は7時間。フルは、以前からある制限5時間のハーフを2時間台で走り切る上級者向け。安易な申し込みは厳禁です」


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2018年08月27日月曜日


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