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<原発再稼動>立地以外も事前了解権「茨城方式」の意義 山田・東海村長に聞く

山田修(やまだ・おさむ) 高崎経済大卒。1986年に茨城県庁入りし、2010年東海村副村長。13年村長選で初当選し、現在2期目。水戸市出身。

 日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の再稼働を巡り、事前了解権を全国で初めて周辺自治体へ拡大した協定が3月に締結された。立地する東海村と水戸市など周辺5市による原子力所在地域首長懇談会の座長で東海村長の山田修氏(57)に「茨城方式」の意義を聞いた。(聞き手は報道部・高橋鉄男)

◎周辺自治体へ拡大当然

<県は関与せず>
 −首長懇は2012年から事前了解権を周辺5市に広げるよう原電に求めた。
 「事前了解権は県と立地自治体だけにあったが、東京電力福島第1原発事故では周辺自治体も避難を強いられた。再稼働は村だけで負える責任ではない。周辺も事前了解が必要になるのは当然だ」

 −協定は原電との事前協議で「実質的に事前了解を得る仕組みとする」と明記した。
 「事前説明や意見交換、現地確認、合意形成を図るための協議会設置を盛り込んだ。自治体は安全対策を要求でき、原電も応じる。これらによって5市も事前了解権を得たということだ。原電も『納得してもらうまで議論する』と言っている」

 −事前了解の相手が増えれば再稼働の壁は高まる。他電力が権限拡大を拒む中、なぜ実現できたのか。
 「立地の東海村が他の周辺自治体と足並みをそろえ、権限拡大を要求してきた点が他地域と違う。立地が言えば、事業者も無視できない。よその立地自治体は声を上げていない」
 「県が協議に関与しなかったのも大きい。他地域は県が仲介役に入り、『県が周辺自治体の意見も踏まえる』と言っている。住民の命を守る基礎自治体にこそ権限が必要だ。事業者も周辺自治体と協定を結ばないと前に進めない。粘り強く譲歩を引き出した」

<多数決しない>
 −首長懇は1999年のJCO東海事業所臨界事故に対応した村上達也前村長が設立を呼び掛けた。
 「福島の事故で不信感が決定的になったと思う。私は事故当時副村長。村長選では与党村議の支援も受けたが、福島の事故をなかったことにはできなかった」

 −6市村の合意形成は協議会で図るとするが、意見が食い違った場合の対応などに曖昧さも残る。
 「調整は今後だが、多数決にはしない。村では実効性ある避難計画と住民の意見も判断材料にする」

 −他地域への助言は。
 「住民の生命財産を守る立場として、事業者から常に情報をもらい、懸念を伝えられる関係が何より大切だ。協定で権利を得た以上、自治体も人や予算を付け、知識と覚悟を持って原発と向き合わなければ相手にされないだろう」

[東海第2原発]日本原子力発電が1978年に茨城県東海村で営業運転開始。出力110万キロワットで、電気は東京電力や東北電力に供給してきた。今年11月末に運転期限の40年となるため、再稼働に向けた原発の新規制基準と、20年の運転延長の審査を進める。安全対策工事の完了時期は2021年3月の予定。30キロ圏には14市町村があり、全国最多の96万人が住む。


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2018年08月27日月曜日


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