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<福島知事選 課題の現場>人手不足(上)介護職 留学生の育成に活路

合同就職説明会で施設の特徴を笑顔で伝える福寿園の職員ら=7月14日、福島市

 東京電力福島第1原発事故の被災地で、人手不足が深刻だ。福島県は補助金創設などで誘致を目指すが、打開策は見いだせない。任期満了に伴う知事選(10月11日告示、28日投開票)を前に、課題の現場を歩く。(福島県知事選取材班)

 「まさか、皆無とは思いもよらなかった」
 南相馬市で4カ所の介護施設を運営する社会福祉法人「南相馬福祉会」。特別養護老人ホーム「福寿園」施設長の菅原武さんは、人材確保の困難さに改めて直面している。

<高校生希望せず>
 6月中旬、市内の高校4校を訪問。3年生の希望進路を聞いて回ったところ、福祉会への就職希望者は全くいなかった。
 福祉会全体の採用を担当して20年。「初めて経験する危機的状況だ」
 沿岸の浜通り地方は原発事故と東日本大震災の津波被害に見舞われた。地元を離れたり、避難を続けたりしている世帯が多い。
 本年度当初の相馬地域の高校3年生は828人。2010年度の1145人から大きく減った。加えて介護職には「きつい、汚い、給料が安い」といった負のイメージが付きまとう。
 「元々、希望者が少ない上に、担い手になりうる住民が戻っていない。ダブルパンチだ。対策の打ちようがない」。菅原さんの表情は曇るばかりだ。

<1年で2割離職>
 福島県も対策に乗り出してきた。14年度には南相馬市や双葉郡などを含む相双地域で1年以上就労することを条件に、30万円を支給する就職準備金制度を創設した。
 だが、準備金を活用した就労者106人のうち、2割は1年以内に離職した。県は本年度、2年以上の就労を条件に、支給額を50万円に引き上げたが、効果は不透明。他地域の施設から応援職員を派遣するための仲介事業も17年度に始めたが、人手不足の打開策にはなっていない。
 「従来型の手法では限界があるのではないか」。介護の関係者からは県の対策に懐疑的な声が上がる。
 待ったなしの状況に、現場は独自に動いている。
 県老人福祉施設協議会は19年度にも、「一から介護人材を育てる事業」に乗り出す。ターゲットは外国人留学生。日本語学校を経由して介護福祉士養成施設で学ぶ留学生に学費や居住費を支給する。
 高木健事務局長は「在留資格の拡大で外国人の活躍が期待されている。国の施策と連動し、外国人が安定して働ける環境を整備したい」と話す。
 「介護を支える供給側だけでは問題を解決できない」という意見もある。
 介護問題に詳しい郡山女子大の熊田伸子教授は「健康寿命を延ばして要介護者の割合を減らすことも大事。需要側と供給側の両面から施策を推し進めてほしい」と強調。人手不足の対策として「介護ロボットの導入を進め、介護者の負担軽減を図る方法もあるのではないか」と指摘する。


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2018年08月28日火曜日


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