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<問う論じる 改憲の行方>(3)縛られる側の都合 論外/料理研究家 枝元なほみさん

[えだもと・なほみ]横浜市出身。農業を支援する一般社団法人「チームむかご」を主宰。主要農作物種子法の廃止問題に取り組む「日本の種子(たね)を守る会」会員としても活動する。

 9月の自民党総裁選は、9条を中心に憲法改正の在り方が争点に浮上している。創作の現場から憲法の今について発言する人々に論議の問題点を聞いた。

 −安倍政権下の憲法改正に反対し、憲法を考えるイベントなどで発言する。

<代償払って獲得>
 「東京電力福島第1原発事故と東日本大震災で、『食べて生きる』という普通の暮らしと社会の在り方は密接につながっていると痛感した。3.11で社会が傷んだ反動で『自分は大丈夫だ』と強く出る人が増えた印象もあった」
 「台所から『何かがおかしい』と言わなければと考えていた時、憲法問題を教えてくれる人がいて改めて憲法を読んだ。憲法は戦争という大きな代償を払い、日々の暮らしを守るために獲得したのだと気付いた」

 −自民党が示した改憲4項目をどう見る。
 「権力者の暴走を縛るための憲法を、縛られる側が都合よく変えようとしている。問題外だ。森友、加計学園問題などおかしなことが山積みだし、党内には国民主権を疑問視する声さえある。民主主義を理解せず、権力者の安泰を目指す今の自民党に改憲を語る資格はない」
 「大切なのは国民が飢えないことなのに、9条を変え、戦争に自分から乗り込むような国にしようとしている。4項目は教育無償化や大規模災害対策などを理由に挙げた点があざとく巧妙だ」

 −自民党の2012年改憲草案は家族や婚姻を規定する24条に「家族は、互いに助け合わなければならない」と加えた。

<価値観押し付け>
 「目の前の食材の状態を無視した命令口調のレシピのよう。価値観の押し付けだ。夜に徘徊(はいかい)する認知症の親を介護する苦労など知らないのだろう。『家族を大切に』と聞こえのいいことだけを記し、育児や介護の現場で困っている人をどう助けるかを全く考えていない」

 −雑誌販売を通じホームレスの自立を支援する認定NPO法人「ビッグイシュー基金」理事を務める。
 「貧しいから支援するのではなく、雑誌販売のビジネスパートナーとしてホームレスの人に接する点に賛同した。大震災の被災者を応援する『にこまるプロジェクト』も同じ。被災地の人にクッキーを作ってもらい、首都圏などで販売している。与えるのではなく、対等に向き合って解決策を探る手法は政治や憲法の在り方にも通じる考えだ」

 −ツイッターでも積極的に意見を発信する。

<政権の現状疑問>
 「脱原発や改憲反対など政治的な発言をすると『もっと勉強して出直せ』と散々言われる。でも、台所で大根を切ったり、天ぷらを揚げたりしている私が考えても安倍政権の現状はおかしく、腹立たしい」
 「私は料理学校に行ったことがなく、自分なりに考えながら料理の仕事をしてきた。専門家と違う視点で料理ができる自負がある。憲法についても肌で感じた疑問を考え、かみ砕いた言葉で咀嚼(そしゃく)して深めることを大切にしたい。専門家任せにするべきではない」(聞き手は東京支社・片山佐和子)


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2018年08月28日火曜日


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