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<トーキンの転進 グローバル企業へ>(中)サプライヤー/再編進め コスト大幅減

トーキンが統合されたケメットの欧州の物流拠点「ユーロハブ」=チェコ

 ITの急激な進化と普及に伴い膨張する電子部品市場。パソコンやスマートフォンなど機器製造のトーキン(宮城県白石市)が世界的好況の波に乗り、グローバル企業への転進を目指す。足掛かりとして昨年春、同社は米電子部品製造ケメットの傘下に入った。旧東北帝大の研究成果を事業化するため設立された老舗メーカーは生き残りを懸け、統合メリットを追求する。(報道部・高橋公彦)

<子会社から役員>
 米電子部品製造ケメットは昨年6月、トーキン(白石市)の完全子会社化に伴い役員を刷新した。グループの資材調達と物流の責任者に、トーキンの片倉文博取締役執行役員常務が抜てきされた。
 買収された子会社の役員が親会社やグループの役員となり、その中でも重要なポストに就く人事は日本企業では極めて異例。だが執行役員級22人の国籍が7カ国に分かれ、米国人は半数に満たないケメットにとってはごく自然な選択で、重要な戦略だった。
 「私が(資材調達と物流の)トップに就くことで取引がこれまでより円滑になる」と片倉取締役は自信をのぞかせる。統合前のNECトーキン時代から資材調達を担い、特にケメットが弱いアジア各国のサプライヤー(原料・資材などの供給元)と強いつながりを持つ。

<アジア依存6割>
 現在、世界的メーカーの多くが経済成長の続くアジアのサプライヤーに支えられている。統合後のトーキンとケメットのグループも例外ではなく、6割近くがアジアに依存する。
 登用された片倉取締役らに託されるのがサプライヤーの再編だ。グループのサプライヤーは合わせて約8000社にも上る。重複する業者も多く、各社の役割やコストを見極め3割の削減を目標に掲げる。
 一方、重要資材で仕入れ先が一業者に限られる場合は複数化を目指す。東日本大震災で東北のサプライヤーが被災した結果、大手メーカーの生産が長期間にわたり中止を余儀なくされた教訓もある。
 片倉取締役は「重要資材のうち仕入れ先を複数確保しているのは5割程度。危機管理上、3年間で7〜8割に割合を上げたい」と力を込める。

<物流の共通化も>
 昨年の統合以前から、既に両社が取り組んでいる取り組みもある。
 ブラジルやアフリカ中央部のコンゴ(旧ザイール)などで産出されるレアメタル「タンタル」。両社の主力製品で、スマートフォンなどに使われるタンタルキャパシタ(蓄電器)に欠かせない資材だ。
 両社は資本業務提携を結んだ2013年度にタンタルの共同調達を始め、17年度までの5年間で約8億円の削減に成功した。今後はセンサー、アクチュエーター(駆動装置)など他製品でもサプライヤーを絞ったり、資材を共同調達したりしてコストカットを図る。
 物流でも統合メリットの追求が進む。ケメットは米国、欧州、アジアにハブとなる中心拠点を持ち、調達品や出荷品を集約・仕分けして周辺各国に運ぶ。トーキンは今年3月、欧米の自社拠点を廃止してケメットと一体化。さらに効果を高めるため物流業者の共通化も検討している。


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2018年08月29日水曜日


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