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<甲子園準V 金農飛躍の源泉>(上)証し/強化策に選手ら応える

準々決勝の近江戦で1点を追う9回裏、無死満塁から2点スクイズで劇的に逆転サヨナラ勝ちし、喜びを爆発させる金足農ナイン=18日、甲子園球場

 第100回全国高校野球選手権大会で、雑草軍団と称される金足農(秋田)が、秋田県勢として103年ぶりに甲子園の決勝に臨んだ。長い低迷期を乗り越え、復活を強く印象付けた選手たち。関係機関が一体となった強化策、独自の練習による鍛錬、努力を見守る地域社会の温かなまなざしが背景にある。飛躍の源泉を解き明かす。
(秋田総局・鈴木俊平、佐藤駿伍)

<「雑草」の真骨頂>
 甲子園で全国有数の強豪校を次々と撃破する。金足農は目を見張る力強さで勝ち上がった。
 象徴的な場面の一つは、準々決勝の近江(滋賀)戦の九回裏だった。逆転2点スクイズが決まり3−2で劇的にサヨナラ勝ちした。
 バントやスクイズは金足農のお家芸だ。近年の強豪校が強力打線で相手投手をねじ伏せる傾向もあるが、金足農はバント重視の戦略で流れを引き寄せた。
 2点スクイズを決めた斎藤璃玖(りく)選手はバント職人。「人より多く」と練習に励んできた。二塁から逆転の本塁生還を果たした菊地彪吾(ひゅうご)選手は迷わず三塁を回った。「普段から(2点スクイズを)練習していた」と胸を張る。
 絶妙に球を転がす技、守備陣との駆け引き。バントは精度の高さや緻密さが求められる。派手さはなくとも、地道な努力が大舞台で花開いた。雑草軍団の真骨頂だった。

<多彩な人材結集>
 ナインが甲子園から戻って5日後の27日、秋田県の高校野球育成・強化プロジェクト委員会があった。甲子園での対戦校のバントシフトも話題になった。金足農の中泉一豊監督は「簡単にバントはさせてもらえなかったが、それでもやるとこだわった」と明かした。
 プロジェクトのアドバイザーを務める前田正治さん(元日本新薬監督)は「それだけの厳しい練習をしてきたということ」と中泉監督の思いを代弁した。
 夏の甲子園で秋田県勢は2010年まで13年連続して初戦で苦杯をなめた。復活を期すプロジェクトは11年、県教委の主導で始動。スポーツ医学の専門家や大学教員らを含む多彩な人材が球児をサポートした。
 15年には秋田商がベスト8に進出。地域を挙げた試みは少しずつ成果を生みつつあった。
 プロジェクトでは、投手のフォームや球速、球の回転数などを解析する講習会も開かれる。金足農の躍進を支えた吉田輝星(こうせい)投手もここで学んで力を伸ばした。直球を生かすため変化球を磨こうと考えたという。
 下半身を強化し変化球の制球力を高めた。キレも増した。吉田投手は「自分の足りない部分を知るきっかけになった」と言う。

<他校に強い印象>
 「雨が降らなければ虹は架からない」。27日のプロジェクト委員会で、県教委の米田進教育長は県勢の長い低迷期を天候に例え、金足農をたたえた。
 努力は決して裏切らない。甲子園準優勝の快挙がその証しとなり、秋田の他校や競技関係者に強い印象を残した意味は大きい。頂を目指し、「チーム秋田」の挑戦はこれからも続く。


2018年08月29日水曜日


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