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<メガホン>野球の原点 忘れられない金足農と近江の準々決勝

 21日に閉幕した全国高校野球選手権大会で、今でも忘れられないプレーがある。金足農(秋田)と近江(滋賀)の準々決勝。1点を追う九回裏、金足農無死満塁から2点スクイズによる逆転サヨナラ勝ちだ。二走菊地彪の果敢な走塁に野球の醍醐味を感じた。バント処理した三塁手が一塁送球するや、三塁コーチの制止をよそに、菊地彪は本塁へ。なぜ果敢に走れたのか。
 「あれは行っていい場面」。後日話を聞くと、菊地彪はさも当然という表情で答えた。50メートル6秒0はチーム一の俊足で、本塁生還には絶対の自信があった。積極的な失敗なら周囲に批判されないというチームの一体感に背中を押されたようだ。
 米大リーグではビッグデータを活用した野球が全盛で、守備位置や配球などベンチの指示が年々細分化され過ぎるきらいもある。高校野球も情報化が進む中で、今回の100回大会は常葉大菊川(静岡)などが選手の主体性や嗅覚を尊重する「ノーサイン野球」を掲げて注目された。原点回帰の現象が見られる。
 菊地彪の好走塁はその最たるものだった。ひた向きさが予想外のドラマを生むと教えてくれた。
(金野正之)


2018年08月29日水曜日


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