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<問う論じる 改憲の行方>(4完)9条 世界に誇れる考え/芸人 松元ヒロさん

[まつもと・ひろ]1952年鹿児島市生まれ。88年コント集団「ザ・ニュースペーパー」の結成に参加し、98年に独立。日本国憲法になりきる一人芝居「憲法くん」のほか、政治家の物まねや戦争体験者を演じる芝居などを全国各地で上演する。

 9月の自民党総裁選は、9条を中心に憲法改正の在り方が争点に浮上している。創作の現場から憲法の今について発言する人々に論議の問題点を聞いた。

 −約20年前から憲法を人間に見立てた一人芝居「憲法くん」を演じている。

<次々と上演依頼>
 「1997年の日本国憲法施行50周年記念のイベントが初演だった。憲法についてコントで分かりやすく伝えてほしいというので、擬人化してみたら面白いんじゃないかと思いついた」
 「『こんにちは、憲法くんです』とあいさつしたり、憲法改正を求める声があることを『リストラされそうなんです』と表現したり。堅苦しくならず、できるだけ分かりやすく台本を作った。一度演じたコントを二度三度と繰り返し上演する機会は少ない。『憲法くん』はなぜか評判がよく、全国各地から上演依頼が来るようになった」

 −コントでは憲法前文をそらんじている。
 「ちょうど台本を考えていた時に、憲法特集のテレビ番組で役者さんが前文を朗読しているのを見た。目で読むと難しく感じるが、音で聴くと意味がよくのみ込める。前文にこそ憲法の魂がこもっているんじゃないかと思い、暗唱して『憲法くん』が訴えかけるスタイルにした」

 −演じ続けて憲法に対する認識は変わったか。

<国民が権力縛る>
 「当初は憲法の何たるかもよく分からず演じていた。ただの法律の親玉ぐらいだと思っていた。一般の法律は刑罰で国民を縛るが、憲法は国民が国や権力を縛るものだ。そこが決定的に違う」

 −自民党が主導する改憲論議の現状をどう見る。
 「冗談じゃない。縛られる側の立場の人が改正を主張するのはおかしい。時代に合わなくなっていると改正の必要性を主張しているが、現実を理想に近づける努力こそが必要。変えるべきなのは、憲法の趣旨に合わない政府だ」

<平和考える時期>
 −3月に改憲4項目が示された。
 「9条に自衛隊を明記することが盛り込まれた。戦争ができる国になってしまうのではないかという危機感が一番強い。平和とは何か、幸せとは何か、破滅の方向に向かわないようにするには何が必要か、一人一人が考えることが必要な時期を迎えている」
 「米国やコスタリカでも『憲法くん』を演じた。9条の条文を読み上げると、聴衆から日本にはこんなに素晴らしい憲法があるのかという反応がある。9条は理想論でも机上の空論でもなく、世界に誇れる考え方だ。自信を持って世界に示すべきだ」

 −今後の活動は。
 「上演を始めた頃は、自分も周りの人々も憲法が改正されることはないと思っていた。昔から常に改憲論はあるが、まさか(改正は)ないだろうと。それがこの20年で現実味を帯びてきたと感じる。人にはそれぞれ役割があり、自分は面白おかしく伝えるのが役目。世界中で『憲法くん』をアピールしたい」(聞き手は東京支社・山形聡子)


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2018年08月29日水曜日


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