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<福島第1>トリチウム水きょうから公聴会 海洋放出の賛否が焦点

福島第1原発の敷地内に立ち並ぶトリチウム水をためているタンク=3月27日

 東京電力福島第1原発の敷地内にたまり続けている放射性物質トリチウムを含む水の処分方法を巡り、政府の小委員会が国民の意見を聞く初の公聴会が30、31日、福島県内2カ所と東京都の計3会場で開かれる。原子力規制委員会が「唯一の方法」とする「海洋放出」に対する賛否が最大の焦点となる。

 国の作業部会が2016年6月に評価結果をまとめた処分方法は、「海洋放出」「水素に変化させての大気放出」「蒸発」「地層注入」「地下埋設」の5通り。公聴会では44人・団体から意見を聞く予定だ。
 7月まで9回の小委員会の会合では「(どの処分方法でも)安全性に問題はないことを意識的に発信すべきだ」「風評被害を最小化することが重要」といった意見が出された。一方で「タンクで保管する現状が最もリスクが低い」との声もあったという。
 海洋放出については、規制委の更田豊志委員長が「現実的に唯一の方法」と述べ、東電に早期決断を求めてきた。
 これに対し、福島県漁連の野崎哲会長は28日、取材に「(国民の理解が進んでいない)現状で放出すれば風評被害が必ず起きる。環境中に出すことそのものに反対」と強調した。
 野崎会長は30日の公聴会で発言する予定で「国民的な議論を経ないと駄目だと、言おうと思う」と説明。処分方法の決定について「誰が責任を持つのか、所在をはっきりさせてほしい」と求めた。
 公聴会は節目になるものの、一気に処分方法の決定には進まない見込みだ。
 「聞きっぱなしにはしない、と委員から念を押されている」と政府関係者。公聴会の意見を基に、小委員会でさらに議論を続ける方向という。確かにタンクは20年度までの増設の見通しが示されており、時間的猶予は残っている。
 行方はどうなるのか。県漁連などが反対を貫く中、海洋放出が政治決断される可能性がある。そうした事態が迫った場合、内堀雅雄知事の対応が注目される。
 経済産業省幹部は「県民や各種団体の思いを伝えてほしい」と国とのパイプ役を期待。東電関係者は「県が事務局を務める廃炉関係の県民会議で議論を方向付けることになるのではないか。知事は前面には立たないだろう」と推測する。
 内堀知事は20日の定例記者会見で「国や東電に対しては環境や風評への影響などについて、しっかりと議論を進めて丁寧に説明し、慎重に対応していくことを求めたい」と語り、従来通り、海洋放出の賛否に踏み込むことはなかった。

[トリチウム水]トリチウム(三重水素)は水素の放射性同位元素。半減期は約12年で弱いベータ線を出す。生体への影響は放射性セシウムの約1000分の1。東京電力福島第1原発で使用する多核種除去設備(ALPS)でも取り除けず、トリチウムを含む水を敷地内でタンクに保管している。保管量は8月16日現在、約92万立方メートル。タンク建設は2020年度に容量137万立方メートルに達した時点で限界になるとされる。


2018年08月30日木曜日


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