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<311次世代塾>第2期 第6回講座 「考える」テーマに震災のメカニズムなど解説

うずたかく積まれたがれきの山。高さは約20メートルもあった=2012年4月17日、石巻市川口町

 東日本大震災の伝承と防災の担い手育成を目的に河北新報社などが開く通年講座「311『伝える/備える』次世代塾」第2期の第6回講座が18日、仙台市宮城野区の東北福祉大仙台駅東口キャンパスであった。
 テーマは発災直後の問題を扱う第1フェーズの最終回「考える」。震災を引き起こしたメカニズム、がれき処理、津波訴訟の各テーマについて、東北大災害科学国際研究所教授の遠田晋次さん(51)、宮城県土木部理事の笹出陽康(はるやす)さん(58)、仙台弁護士会弁護士の佐藤由麻さん(38)の3人がそれぞれ講師を務めた。

◎断層地震にも警戒必要 東北大災害科学国際研究所教授・遠田晋次さん

 遠田さんは「地震のメカニズムと防災」と題して講演。震災発生当初、マグニチュード(M)8.9と報道されたことに「想定外だ」と驚いたことを明かし、「宮城県沖ではM7.5級の地震が三十数年間隔で起きていたが東日本大震災では、複数の震源断層が連動して動き、想定を超える巨大地震になった」と解説。
 「今後も津波への警戒が必要な海溝型地震と並び、内陸地震へも警戒が必要だ。仙台市の直下にも長町利府線断層帯があり、油断はできない。自然現象を正しく理解して防災減災につなげてほしい」と訴えた。

◎がれき処理こそ最優先 宮城県土木部理事・笹出陽康さん

 2人目の笹出さんは震災当初から3年間、担当課長として、宮城県のがれき処理の指揮を執った。「がれき処理は復興復旧の1丁目1番地」と切り出し、「処理が遅いとの批判も受けたが、全国の支援もあり、目標とした3年以内の完了はできた」と振り返った。
 笹出さんは、西日本豪雨被災地の岡山県に派遣され、震災での知見を提供したことも紹介し、「震災を経験したからこそ、災害への備えや発生時の支援に生かせることがある」と強調。「将来のため、震災の記録と記憶を次世代に引き継いでいこう」と呼び掛けた。

◎訴訟を防災策の教訓に 仙台弁護士会弁護士・佐藤由麻さん

 最後に登壇した佐藤さんは、石巻市大川小、東松島市野蒜小など津波犠牲者の遺族が原告となった宮城県内の4訴訟を取り上げた。佐藤さんは「いずれも震災前の備えや津波襲来の予見性、注意義務対応が争点となったが裁判所の判断は事案ごとに異なる」と説明。
 「遺族の多くは真実の解明を望んでいるが、法的責任の問題も絡み、被告側の口は重い」と指摘した佐藤さんは「勝訴敗訴、和解といった裁判の結果にかかわらず、被害の一つ一つが再発防止に向けた教訓として、後世の防災対策に生かされるべきだ」と結んだ。

[メモ]311「伝える/備える」次世代塾を運営する「311次世代塾推進協議会」の構成団体は次の通り。河北新報社、東北福祉大、仙台市、東北大、宮城教育大、東北学院大、東北工業大、宮城学院女子大、尚絅学院大、仙台白百合女子大、学都仙台コンソーシアム、日本損害保険協会、みちのく創生支援機構。協議会事務局は河北新報社防災・教育室=メールjisedai@po.kahoku.co.jp


2018年08月31日金曜日


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