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<盛岡・谷藤市長>任期満了まで1年 経営センス割れる評価

盛岡さんさ踊りの開幕パレードで先頭を歩く谷藤氏=8月1日

 岩手の県都・盛岡のかじ取りを担う谷藤裕明市長(68)は、4期目の任期が1日で残り1年となった。手堅い財政運営とそつのない全方位外交が高評価を集める半面、市民からは住民協働の姿勢を疑う厳しい意見も聞かれる。ベテラン首長の域に達した谷藤氏。その手腕を点検する。

 市長就任は2003年。県議会議長から転身し、3選を目指す現職を破った。当時の市の借金は企業会計を含めて総額2807億円。行財政改革が喫緊の課題だった。
 職員の定数や給与の削減に取り組んだ結果、17年度の借金は就任時点から3割減の1950億円まで圧縮された。市議会の天沼久純議長は「1、2期目に財政再建の手腕を発揮した」と及第点を付けた。
 財政削減の傍ら、07年には岩手大(盛岡市)の理工学部に隣接して市産学官連携研究センターを開設。精密機器製造アイカムス・ラボなどベンチャー6社が独り立ちを果たした。
 センターの運営に携わる今井潤教授は「大学だけで巨額の施設整備は難しい」と支援に感謝。「成果は地域に還元したい」と話す。
 市立病院や大型商業施設が立ち並ぶ盛南地区。市による総面積313.5ヘクタール、総事業費790億円の大規模土地区画整理事業は13年に完了した。今や市民の「住みたいまち」ナンバーワンエリアだ。
 都市開発に遺憾なく経営センスを発揮する谷藤氏。自ら「信じる道」を追求するあまり、ときに市民とのあつれきも生じる。07年には「盛岡の顔」岩手公園に愛称を付けると言い出し、物議を醸した。
 ある市職員は「あそこは、ずっと『岩手公園』。『盛岡城跡公園』という愛称には違和感しかなかった」。市は看板などで愛称をPRするが、市民に定着しているとは言い難い。
 10年には岩手公園に隣接する桜山地区の整備で、再び市民と対立した。藩制時代の土塁などを復元する計画に、昭和の面影を残す飲食店を守ろうと市民が反対運動を展開。3万3000人分の署名を突き付けられ、計画は白紙に戻った。
 地元商店会の颯田淳会長は「まずは市民の意見を聞くという順番を守ってほしかった」と振り返る。
 評価が分かれる谷藤市政。本人は「財政逼迫(ひっぱく)で行財政改革に10年かかった」と語り「人を呼び込むための発信力」を今後の市政課題に挙げる。任期満了までに「盛岡広域のごみ処理施設やバスセンターの整備にめどを付けたい」と言う。
 東北の県庁所在市の首長では最古参となり、10月には東北市長会長への選出が確実視されている。


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2018年09月01日土曜日


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