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<福島第1>公聴会終了 トリチウム水処分、長期保管含め議論へ

 東京電力福島第1原発の敷地内にたまり続ける放射性物質トリチウムを含む水の処分方法を巡り、政府の小委員会は31日、国民の意見を聞く公聴会を東京都内と郡山市で開き、計30人が持論を述べた。有力な選択肢に浮上した「海洋放出」への賛成は皆無で、結論を急ぐ政府や東電への不信感が噴出した。

◎海洋放出へ批判噴出

 公聴会は30日の福島県富岡町を含め3回開催した。終了後、小委委員長の山本一良名古屋大名誉教授は公聴会で複数挙がった「タンクでの長期保管」を処分の選択肢に加え、期限を切らずに議論する考えを明らかにした。公聴会の追加開催も検討する方針。
 東京・内幸町のイイノホールでは16人が意見を語った。トリチウム(三重水素)の健康被害について、北海道がんセンター名誉院長の西尾正道さん(71)=札幌市=は「(放射線の影響だけでなく)水素としてDNAに取り込まれ、遺伝子情報が変化する」と懸念。トリチウムの環境放出を「実害が遅れて出てくる。人類に対する緩慢な殺人行為だ」と非難した。
 トリチウムの半減期は約12年。原子力市民委員会(事務局東京)の細川弘明事務局長(63)=京都市=は「大型タンクで100年以上保管すべきだ。技術的、経済的に可能。長期保管は放射能を減衰させる積極的効果がある」と強調した。 
 郡山市商工会議所での公聴会では、汚染水を多核種除去設備(ALPS)などで処理した水にトリチウム以外の放射性物質も残っている問題に関し「議論の前提が崩れた」と訴える人が相次いだ。
 郡山市から札幌市に避難する会社員鈴木則雄さん(60)は「ALPSでどこまで再処理するかが示されないと意見の出しようがない」と疑問視。福島県三春町のヘルパー大河原さきさん(66)は「処分は漁業との関係ばかりが問題にされがちだが、広く国民や海外にも意見を聴く必要がある」と指摘した。


2018年09月01日土曜日


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