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<福島第1>トリチウム水処分 科学的説明果たさず

 【解説】東京電力福島第1原発で発生する放射性物質トリチウムを含む水の処分方法を巡る政府の小委員会による公聴会は31日、2日間の日程を終えた。海洋放出にとどまらず、処分自体への反対が相次ぎ、トリチウムをはじめ放射性物質に関する丁寧な説明と国民的議論の必要性が改めて浮き彫りになった。
 公聴会では国の作業部会が「海洋放出」など五つの処分方法しか示していないことに異論が続出。タンクによる地上保管を求める意見が多く、性質が十分に周知されていないトリチウムへの不安と、風評被害に対する懸念の大きさを示した。
 31日の郡山市会場で委員の一人が「天然にも存在する」「ただ濃度が高ければ危険なことに変わりはない」などと語ったが、こうしたトリチウムに関する説明は少なかった。「国民の意見を聴く」という公聴会とはいえ、十分な科学的説明がさらに必要ではなかったか。
 多核種除去設備(ALPS)で処理した後の水にトリチウム以外の放射性物質も残っている問題では、「前提が崩れた」との批判が続出。積極的に公表してこなかった国や東電への不信感が示された。
 この問題では当初、原子力規制委員会の更田豊志委員長が「希釈すれば海洋放出できる」と語っていたのに対し、小委員会委員長の山本一良名古屋大名誉教授は「個人的にはトリチウム以外の核種は除去するべきだと思う」と発言。ALPSによる再処理の必要性に踏み込んだ。
 公聴会で委員の一人は「この委員会では放出(する)とは言っていない。国の手先のように思わないでほしい」と語った。
 福島県内と東京の計3会場の発言者は計44人。もっと多様な意見をすくい取り、理解を得られる処分方法をどう見いだしていくか。公聴会は国民的議論に向けたスタートにすぎない。(福島総局・関川洋平)


2018年09月01日土曜日


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