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<あなたに伝えたい>試験に合格 前を向き頑張る

自身と秀則さんがモデルになった絵本のページを繰る江里子さん

◎松崎江里子さん(名取市)から秀則さんへ

 江里子さん パパの休日は火曜と金曜で、いつも一番の早起きでした。午前6時半に出勤する私がキッチンでみそ汁を作る様子を、新聞を読みながらカウンター越しに見守っていた姿を覚えています。夜はJR名取駅に迎えに来てくれました。
 金曜だったあの日、仙台の職場で被災した私は、歩いて自宅に向かいました。閖上に津波が来るなんて思いもしませんでした。
 パパが亡くなったとは認められず、今も仏壇に手を合わせることができません。ふらっと帰って来るような気がします。
 家の門の脇にあったマンホールを覚えていますか。20センチぐらい高くなっていて、幼稚園の頃にステージに見立てて歌ったり、踊ったりしました。
 2015年の私の誕生日に、私とパパとマンホールをモデルにした絵本が出版されました。題名は「マンホールのステージ」。山形のイラストレーターの方たちが作ってくれました。
 絵本が出てから、少しずつ前に進めるようになりました。その年の12月、震災の語り部を始めました。被災地を訪れる人たちに、パパのこと、閖上のことを話し、津波、災害への備えの大切さを伝えています。
 うれしい報告があります。8月6日、保育士の国家試験の合格通知が届きました。いつも駅に迎えに来てくれたパパは、車を運転しながら「頑張れよ」って励ましてくれました。仕事を続けながらの試験勉強は大変でしたが、これからも前を向いて頑張ります。

◎保育士の夢を応援してくれた父

 松崎秀則さん=当時(54)= 名取市閖上1丁目の自宅で長女江里子さん(31)ら家族5人で暮らし、市内の食品製造工場に勤めていた。休日だった震災当日は、自宅で被災。家族を避難させ、1人で片付け中に津波に巻き込まれたとみられる。4月18日に家族が身元を確認した。


2018年09月02日日曜日


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