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<東日本大震災>「一人じゃない」合言葉 孤立防止 映画で訴え

映画製作スタッフの前で台本の打ち合わせをする住民ら=6月下旬、登米市

 東日本大震災でかけがえのない家族を亡くした働き盛りの男性が主人公で、孤立や孤独死をなくす「地域の見守り」をテーマとした映画製作が登米市豊里町で行われている。今月中旬にはいよいよ現地で撮影が始まり、住民がエキストラとして出演。地域を対象にした上映会も予定している。

 映画「一人じゃない」(脚本、演出、監督・鐘江稔さん)は、沿岸被災地で妻と子どもの3人を亡くした58歳の男性が主人公。被災地から離れた地に移り住んで独り暮らしを余儀なくされ、亡くなった家族が忘れられず後追い自殺も考えながら、鬱々(うつうつ)とした日々を過ごす姿を描く。
 孤立や孤独死は高齢者だけではなく、震災で心をむしばまれた働き盛りの被災者にも起こり得ることを伝え、地域の支え合いの大切さを訴えるストーリーとなっている。
 原作者は、登米市豊里コミュニティ推進協議会集落支援員の川谷清一さん(62)。
 大阪出身の川谷さんは震災直後に宮城県南三陸町にボランティアに来たことがきっかけで、大阪府職員を退職。石巻市の緊急学校支援員やNPO職員として仮設住宅団地の見守りなどの被災者支援に携わり、2016年から登米市で集落支援員をしている。
 石巻市内の災害公営住宅で60代男性の孤独死に遭遇した経験から、震災被災者を孤立・孤独死から守る取り組みの必要性を感じ、原作を書いた。
 「震災で家族を亡くし、家庭環境が激変する中で体調を崩す人がたくさんいる」と川谷さん。「『自分は一人じゃないんだ』と思える地域の支え合いが、今後被災地でどれだけ大切になるか」と語る。
 撮影は14日から3日間、登米市豊里町や石巻市で行われる。撮影スタッフやメインキャストを川谷さんと縁がある大阪の俳優らが務め、住民約10人がエキストラ参加。歌手のさとう宗幸さんも特別出演する予定だ。
 地元の映画製作委員会の委員長を務める佐々木豊さん(70)は「高齢化や少子化、核家族化が進むこの地域で、孤独死は身近に起きている問題。映画作りに住民が参加することで、地域ぐるみの見守りが必要なことを知ってもらいたい」と話す。


2018年09月02日日曜日


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