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宮沢賢治の教え新庄で忠実に実践 松田甚次郎の生涯描く 賢治の古里花巻で来年1月念願の初公演

昨年9月に新庄市で上演された「土に叫ぶ人 松田甚次郎−宮沢賢治を生きる」の一場面(新庄演劇研究会提供)
松田甚次郎(新庄市提供)

 宮沢賢治の教えを新庄市で忠実に実践した松田甚次郎(1909〜43年)の生涯を描いた演劇「土に叫ぶ人 松田甚次郎−宮沢賢治を生きる」が来年1月、賢治の古里、花巻市では初めて上演されることが決まった。関係者は「今回の公演を通して賢治と甚次郎のように花巻、新庄両市の絆が強くなるきっかけにしたい」と意気込んでいる。
 甚次郎を扱った演劇や朗読劇は新庄市で度々行われてきたが、これまで県外での公演はなかった。今回、全国市町村振興協会から150万円の助成が受けられることになり、念願だった花巻公演が実現。出演者やスタッフら総勢約30人が現地を訪れる。
 演劇の舞台は昭和初期の新庄。甚次郎が、盛岡高等農林学校(岩手大農学部の前身)在学中に、賢治から「小作人たれ」「農村劇をやれ」と教えられ、帰郷する所から始まる。神社の境内に土舞台を築き、地域の課題をテーマにした演劇を上演し、農家の意識改革に取り組んだ。賢治の作品を集めて出版した後、宮沢家を訪ねる場面もある。
 出演するのは、新庄演劇研究会を中心とした市内の演劇関係者。花巻市内の小学生にも出演してもらうことで調整している。
 同研究会は、2015年度に実施した甚次郎を主人公にした公演が山形県県民芸術祭大賞を受賞。脚本の一部を変えて17年に「土に叫ぶ人」を上演した際も、高い評価を受けている。
 脚本と演出を担当し、花巻公演の実行委員会会長を務める詩人で劇作家の近江正人さん(67)=新庄市=は「生涯をかけて賢治の教えを実践した甚次郎の姿を賢治の古里で上演できることになり、とてもうれしい。花巻と新庄の結び付きが強まり、子ども同士の交流や観光振興にもつながってほしい」と話した。
 公演は1月27日午後2時から、花巻市文化会館。入場無料。連絡先は実行委事務局の新庄市社会教育課・小山さん0233(22)2111内線462。

[松田甚次郎(まつだ・じんじろう)]1909年、稲舟村(新庄市)鳥越の地主の家に長男として生まれる。盛岡高等農林学校で学んだ後、帰郷。農村振興に励み、38年に出版した実践録「土に叫ぶ」がベストセラーになった。翌年、賢治の作品集「宮沢賢治名作選」を出版し、賢治の文学を広く一般に広めた。


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2018年09月04日火曜日


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