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<宮城・福島3生協合併>(上)決断/生き残り懸け規模拡大

合併関連議案を議決したコープふくしまの通常総代会=6月14日、福島市

 みやぎ生協(仙台市)とコープふくしま(福島市)、福島県南生協(福島県矢吹町)が来年3月、合併する。人口減少で縮小する市場を大手小売りらと奪い合う厳しい競争環境にある東北で、初めて県境を越えた合併が実現する。歴史や規模の異なる3生協が一体化する背景や針路を探る。
(報道部・水野良将)

<改正法呼び水に>
 100万人の組合員を抱える巨大組織が生き残りを懸け、決断した。
 「合併はゴールではなくスタートだ。今後も地域社会での役割を果たす」
 今年6月、コープふくしまの今野順夫理事長が通常総代会で強調した。みやぎ生協、福島県南生協との合併関連議案を議決。約90年前に発足した老舗生協が新たな一歩を踏み出した。
 本格的な合併協議が始まったのは2016年。みやぎ生協の呼び掛けに、コープふくしまと福島県南生協は積極的に応じた。協議はスムーズに進み、2年をかけて議決に至った。
 合併の呼び水となったのは、08年施行の改正生協法だ。1948年制定の旧生協法は都道府県を越えた生協の設立を認めなかった。
 旧法制定から60年がたち、組合員の生活圏は広がった。チェーンストアは各地で店舗を増加。流通を取り巻く環境が様変わりしたため、隣県の生協同士が合併できるよう見直した。既に兵庫県と大阪府の2生協による「コープこうべ」など三つの先行事例がある。
 みやぎ生協の宮本弘理事長は「先行事例を参考に合併方法やメリット、課題を話し合った。合併で力を付けなければ競争に生き残れない」と危機感を強める。

<新たな脅威続々>
 3生協の店舗供給高(売上高)は17年度、前年を下回った。宮城、福島両県ではスーパーのヨークベニマル(郡山市)やヤマザワ(山形市)、イオングループなどが出店攻勢をかける。北海道、北東北を中心に展開するアークスグループ(札幌市)も南進の気配をみせ、新たな脅威となる。
 19年3月21日に誕生する新生協の供給高は1300億円が見込まれ、全国の生協でトップクラス。みやぎ生協が存続法人となり、他の2生協の全ての事業と資産を譲り受ける。譲渡の対価として、営業権に当たる「のれん代」を2生協に支払い、累積欠損金が残らないようにする。
 「規模のメリットを生かし事業共同化や経営の効率化を図る。福島の新規出店や組合員組織率の向上、優秀な人材も確保する」。新生協のトップに就く予定の宮本理事長は戦略を練る。

<岩手と山形 静観>
 東北の他県の生協が合併に加わる可能性は低い。法律で新生協と合併できる岩手、山形両県の生協関係者は「地域で培ってきた歴史や活動を尊重する」「業績が堅調で合併の必要性を感じない」と冷静に見守る。
 生協は全国の総供給高が3兆309億円(17年度)に上り、地域によっては大手小売りをも圧倒する一方、非営利の相互扶助組織でもある。日本生活協同組合連合会(日本生協連)の関係者は、東北の3生協など各地で進む組織統合のさらに先を見据える。
 「流通業界は今、インターネット通販の普及など業態の垣根を越えた争いが激化している。事業と相互扶助の両面を尊重しつつ、時代に合った存在にアップデートする必要もあるのでないか」


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2018年09月04日火曜日


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