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<宮城・福島3生協合併>(下)結束/震災経験基に連携強化

せいきょう便で買い物をする災害公営住宅入居者ら=名取市の高柳西団地

 みやぎ生協(仙台市)とコープふくしま(福島市)、福島県南生協(福島県矢吹町)が来年3月、合併する。人口減少で縮小する市場を大手小売りらと奪い合う厳しい競争環境にある東北で、初めて県境を越えた合併が実現する。歴史や規模の異なる3生協が一体化する背景や針路を探る。
(報道部・水野良将)

<移動店舗に600品>
 災害公営住宅が並ぶ名取市の高柳西団地を、みやぎ生協(仙台市)の車両移動店舗「せいきょう便」が巡回する。冷蔵庫や冷凍庫、陳列棚を備え、生鮮品など600品目以上をそろえる。
 80代の女性は「近所で買い物ができて、本当に助かる」と感謝した。名取市閖上地区で暮らしていた女性はかつてみやぎ生協閖上店に通っていたが、東日本大震災で被災し団地に移り住んだ。
 震災はみやぎ生協にも多大な被害を与えた。職員約15人が津波の犠牲になり、閖上店などは閉店。被害額は約80億円に上った。
 「私たちの役割は組合員の暮らしを支えること」。当時、みやぎ生協の宮本弘専務理事(現理事長)は生協運動の原点に立ち返り、決意を職員らに伝えた。
 その象徴の一つが、2011年8月に導入したせいきょう便だ。当初は仮設住宅を回って被災者に物資を届けた。近年は高柳西団地のように無店舗地区や内陸部にも出向き、高齢者ら買い物弱者を支援する。

<収益源ストップ>
 コープふくしま(福島市)は以前からの累積赤字に加え、東京電力福島第1原発事故で収益の柱の共同購入事業(宅配)が約1カ月ストップした。大勢の組合員が避難を余儀なくされ、一時的に相双支部の組合員が7割、いわき支部の組合員は5割減った。
 野中俊吉専務理事は「このままでは倒産する。日銭も入ってこない。自殺しようかとも考え、眠れぬ日々を過ごした」と振り返る。
 福島県南生協(福島県矢吹町)も、共同購入の停止などで苦しんだ。当時は経営が圧迫されても、銀行はなかなか支援してくれなかったという。
 3生協は震災と原発事故後も、店頭などでできる限り商品の提供を続けた。行政との協定に基づく物資の供給、食事に含まれる放射性物質の調査なども実施。全国の生協から物心両面の支援を受けた。少しずつ経営を立て直し、広域合併が可能な状況にたどり着いた。

<「良い結果生む」>
 経営が改善したコープふくしまの相双地区の総代の女性は「累積欠損金がなくなり利益が出れば、20年なかった出資配当金が出るかもしれない」と期待する。
 日本生活協同組合連合会(日本生協連)の本田英一代表理事会長はコープこうべ(神戸市)出身。1995年の阪神大震災以降、みやぎ生協と職員派遣や商品販売などで連携してきた。11年3月には大阪北生協(大阪府)との合併にも携わった。
 本田氏は「3生協はいずれも地域との連携を重視している上、震災と原発事故を経験して結束を強めてきた」と指摘。「合併は、生協、組合員、地域にとって良い結果を生むのではないか。われわれも後押しできるといい」とエールを送る。


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2018年09月06日木曜日


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