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プログラミング教育に募る不安 秋田県教委、負担軽減策急ぐ

小学生向けのプログラミング教室に参加する親子。パソコンの使用に慣れている子どもも多い=8月19日、秋田市

 児童生徒の学力テストで全国トップクラスの成績を誇る秋田県内の教育現場が、小学校で2020年度に始まるプログラミング教育に不安を募らせている。多くの教職員が未経験の分野で、同時期に英語や道徳が必修化されるため多忙化への懸念もある。県教委は現場の負担軽減に向けて外部講師の確保を急ぎ、地元大学は研究会を設立するなどして指導体制の底上げを図る。(秋田総局・鈴木俊平)

<体験教室は盛況>
 「指示通りに動いた」「次は別の色に光らせたい」
 サーバー管理などを手掛けるエスツー(秋田市)が8月下旬に開いた小学生向けの体験教室。親子連れ約10人はパソコンで数字や言語を組み合わせ、規則的な秒数で点滅する信号機の制作を通じて、プログラミング学習を楽しんだ。
 7〜8月に計8回開いた体験教室は小中学生約120人が参加する盛況ぶりだったが、教職員向けの2回は計10人にも満たなかった。同社の担当者は「子どもは理解が深まるにつれてのめり込むし、習い事として保護者の関心も高い。ただ、先生たちの注目度は低いようだ」と語る。
 近年のIT技術や人工知能(AI)の進歩を受け、新学習指導要領は、コンピューターに意図した処理をさせるための論理的思考力の養成を掲げ、プログラミング教育を盛り込んだ。
 だが、科目を新設するわけではない。音楽でリズムを組み合わせて曲を作ったり、算数で正多角形を描いたり。既存科目に組み入れて実施され、対象学年や授業回数は各校に任される。
 ある文部科学省幹部は「スマートフォンやパソコンに慣れ親しむ子どもは多い。学びに積極性が出て理解も深まるはずだ」とみる。

<「間に合わない」>
 そんな期待とは裏腹に、小学校教員の顔色はさえない。秋田市の30代男性教諭は「教員たちは、同時期に必修化される英語や道徳の準備で忙しい」と明かす。
 長時間労働を改善するため、県内の小中高校は18年度、教職員の時間外勤務の抑制や部活動の休養日確保を共通目標に設定した。ところが、「業務内容は減らず、有効な解決策にはならない。外部機関を組み込んだ教育体制を構築しないと間に合わない」(男性教諭)という。
 現場の負担軽減と学びの場の充実をいかに両立させるのか。関係機関は支援の在り方を模索する。
 県教委は18年度中、外部講師を登録する人材バンクを新設し、教職員研修や児童向けの授業を担う人材を各校に派遣する予定だ。
 義務教育課は、学力テストでの優れた結果につながる全国有数の教育法を持つ秋田には、プログラミング教育に対しても「潜在力があるはず」と期待する。一方で、「各市町村教委で温度差があり、教員の習熟度に差が出るかもしれない」との見方を示す。

<独自教材開発も>
 秋田県立大や秋田大などは8月、「県子どもプログラミング教育研究会」を設立した。大学教授やIT関係者ら約40の個人・団体が連携し、教材開発のほか、相談対応や勉強会などを展開していく。
 会長を務める県立大システム科学技術学部の広田千明准教授は、パソコンを使うため本格的な理系を連想して尻込みする先生が多いとし、「苦手意識や誤解をいかに解消するかが鍵」と指摘。「現場だけで授業を担うのは負担が大きい。大学や企業と連携し、学習環境を整えたい」と語る。


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2018年09月07日金曜日


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