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<杜の都のチャレン人>思い込めて日々紡ぐ

紙糸作りの場は、庭を臨む自宅の一画。大金さんは「自分に今できる最高のものを作りたい」と話す

◎和紙から糸作り 織物制作・大金暁子さん(74)

 和紙から作った糸で織った服は、吸湿性が高く蒸れにくい。そして防寒性に優れ暖かい。洗濯もでき、着れば着るほど肌触り良くなじむという。「素朴で、絹のような華やかさはないが、存在感がある」と喜々として魅力を語る。
 2008年、白石市の和紙工房で紙糸を作る工程を見て「私の求めていたのはこれだ」とほれ込んだ。帯1本分、40枚の和紙を購入してすぐに紙布織りを始め、10年間のめり込み続けている。「考える前に体が動いてしまうの」と朗らかに笑う。
 和紙を細長く切り、湿らせてもみ、一本につないで、より合わせる−。着物1反分の紙糸を作るのに約3カ月。労力がかかりすぎるためか、紙布織りを主に手掛け続けている作家は少ないという。
 手すきの和紙は、一枚一枚に違いがある。その差を感じながら進める紙糸作りには、特に力が入る。「気持ちに余裕があるときは、『きれいだな』と感じる紙糸ができる。本人も分からない自分の今を、和紙が映し出している感じ」。創作を通じ、和紙を糸にし、布に織った昔の人の知恵に感心し、和紙のすごさ、素晴らしさ、奥の深さを味わっている。
 織物を始めたのは1996年。「自分で織った服が着たい」という思いからだった。義母の介護で織物に専念できず、じれた時期もあった。「習いに行きたいけれど外に出られなかった。その時の気持ちを忘れちゃいけない。今は自分の思いを全て紙に懸けられる。だから無駄にしたくない」と自身に言い聞かせるように語る。
 「10年たっても自分で満足のいく物ができず、悔しい。でも難しいから面白い。苦労して苦労してものにするのが好きなの」。気付けば一日中紙糸を作っている。
 「今度こそ。今度こそ」。ひたむきな作業が日々続く。(也)

[おおがね・あきこ]44年東京都日野市生まれ。高校卒業後、銀行に勤務。結婚を機に退職し、専業主婦に。71年に家族と共に仙台市へ転居。カードで糸を織るカード織りなども手掛ける。仙台市泉区在住。06、07、17年に河北工芸展入賞。


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2018年09月08日土曜日


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