宮城のニュース

<宮城豪雨3年>出来秋襲った浸水、繰り返さぬ 教訓踏まえ対策進む

浸水対策事業が進む吉田川=大和町落合
8カ所の降雨量などを計測する気象観測システム。常時、住民も見ることができる=大崎市役所

 宮城県内に大きな被害を与えた2015年の宮城豪雨から10日で3年になる。各地で集中豪雨が頻発する中、被害を最小限に抑えようと、ハード、ソフト両面の対策が進む。被害が大きかった大和町と大崎市から取り組みを報告する。(富谷支局・藤田和彦、大崎総局・大場隆由)

 吉田川からの越水などで幹線道路や田畑が冠水し520人が一時避難、浸水面積が約2000ヘクタールに上った大和町。住民生活に打撃を与え、出来秋を襲った浸水被害を繰り返さないための大規模な治水対策が行われている。
 東北地方整備局と県が主体となり17年度、吉田川流域の床上浸水対策事業に着手。計約192億円を投じ、22年度にかけ、洪水発生時に一時水をためる遊水地の整備や水の流れをよくするための川底の掘削、築堤を順次進める。
 宮城豪雨時は、町役場や警察署、消防本部が集中する町中心部一帯が浸水し、一部機能が停止した。
 床上約1.2メートルまで水に漬かった黒川地域行政事務組合事務所は、被災を機に17年10月、高台に移転。高機能ボートも配備し、豪雨が想定される際は、中心部に残る消防本部の人員や車両、資機材を新事務所に移して対応する。
 組合の佐野英俊助役は「3年前の教訓を生かし、日頃から備えの意識を高めたい」と気を引き締める。
 多田川の支流、渋井川の決壊などで695世帯が浸水し、一時2300人近くが避難した大崎市では、避難をスムーズにするためのソフト面の対策も進めた。
 決壊した渋井川をはじめ、市内の水位観測ポイント8カ所ごとに、住民避難の時機などを時系列で想定した「タイムライン」を策定。水位の上昇幅とそれに応じた避難行動を明示した。
 昨年4月からは市独自の気象観測システムを導入。市内8地区の風速や降り始めからの累積降雨量などを計測。インターネットを使って市民も観測データが見られるようにしている。
 ただ、課題も残る。宮城豪雨以降、市は自主避難向けに早期の避難所開設などに努めるが、今年8月5日の大雨による土砂災害警戒で、鳴子温泉鬼首地区366世帯に出した避難勧告は、午後11時45分と深夜になった。
 水位観測による河川警戒と異なり、急激な豪雨による土砂災害警戒での避難指示の判断は難しく、当初、避難指示の前提となる気象台からの土砂災害警戒情報は出ないと踏み、対応が遅れた。
 市防災安全課の三浦利之課長は「気象観測システムの情報なども用い、避難勧告に至る前の段階で、避難の準備情報などの提供についても検討したい」と対応策を練る。

[宮城豪雨]2015年9月10日夜から11日未明にかけて発生。県内各地で河川の氾濫や堤防決壊が相次ぎ、栗原市で2人が亡くなった。住宅被害は全壊1棟、半壊480棟、一部損壊365棟、床上浸水179棟。県内の被害額は約306億円に上った。


関連ページ: 宮城 政治・行政

2018年09月09日日曜日


先頭に戻る