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達増岩手県知事任期満了まで1年 ネット活用、若者支持拡大 自由な言動に県政界から懸念も

県庁前のイベントで、県内各地のゆるキャラとラグビーワールドカップをPRする達増氏=8月2日

 達増拓也岩手県知事(54)は、3期目の任期が10日で残り1年となる。インターネットメディアの積極活用で若者の支持を集める半面、県政トップに老練な振る舞いを求める県政界からは、自由な言動に懸念の声も。東日本大震災からの復興総仕上げに取り組む達増氏。その手腕を点検する。

 動画配信サイト「ニコニコ動画」に開設した県の公式チャンネルは今年5月、放送50回の節目に到達した。毎回1時間前後の生放送に出演し、県政情報を発信する。
 お盆休みには、岩手町であったニコニコ動画の屋外イベントに駆け付けるほどの入れ込みぶりだ。
 ニコニコ動画を運営するドワンゴ(東京)の長谷川明弘イベント事業部長は「若者と政治の距離感を縮めようと努力している」と好感する。
 漫画やアニメにも造詣の深い「サブカルチャー知事」。傍らでは、これまでに打ってきた施策が実りの時を迎えている。

<被災地 手厚く支援>
 2016、17年には県産ブランド米の「銀河のしずく」「金色(こんじき)の風」が相次いで市場デビュー。宮古市には6月、北海道室蘭市を結ぶカーフェリーが就航した。北上市では半導体大手「東芝メモリ」(東京)の新工場建設が始まっている。
 県の震災復興計画は本年度が最終年となる。県内の災害公営住宅は完成予定も含めて計5865戸。このうち半数近い2846戸が県営と、財政力の弱い被災市町村を手厚く支援する。
 一方、被災者支援などのソフト事業について民間団体「復興支援連絡会」の島倉友也代表は「要請があれば検討するという態度は改めてほしい」と注文を付けた。大槌町の旧役場庁舎を震災遺構として残すかどうかといった住民論議への参画にも消極的だ。

<政権批判 鳴り潜め>
 県政界では敵味方の色分けが一目瞭然だ。16年参院選の岩手選挙区では、野党統一候補を全力応援。17年には「政治の師」(達増氏)である小沢一郎自由党代表(衆院岩手3区)の元公設秘書を自らの政務秘書に起用した。
 自民党県連の岩崎友一幹事長は「選挙で野党のマイクを握った結果、政府与党との距離が生じ、県民の利益が損なわれている」と指摘。「政権党とは上手にやった方がいい」と皮肉を放つ。
 それでも舌鋒(ぜっぽう)鋭く安倍政権を批判する姿は知事就任以来、定例記者会見の「お約束」だった。ところが最近は時事評論が鳴りを潜めている。
 達増氏周辺からは「まだ選挙モードになっていない」「4選に向けて発言が慎重になっている」と両論が飛び出した。
 残り1年となった任期について6日の定例記者会見では「負託をいただいている間にやるべきことをしっかりやる。震災復興と次期総合計画の策定を進め、来年度から新しい施策をスタートさせたい」と優等生答弁に努めた。


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2018年09月09日日曜日


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