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<仙台いやすこ歩き>(87)レトルトカレー/おいしさと安心を両立

 夏の食の話題にカレーは付きもの。最近レトルトカレーの売り上げがカレールーを抜いたという。「レトルトカレーを作っている有名な会社が近くにあるらしい」という画伯の友達情報を基に、いやすこ2人、宮城県岩沼市のにしき食品にやってきた。
 にこやかに迎えてくれたのは広報・お客様相談室の斎藤幸治室長(48)で、夏の制服であるアロハシャツ姿。渡された会社案内はレトルトパウチ入り。何か楽しい予感!
 にしき食品の始まりは、南町通(仙台市青葉区)のつくだ煮屋さんだという。減塩志向の中で日持ちの問題が浮上。2代目が、食品包装技術として最新のレトルトに着目する。
 「元々、レトルトとは加圧加熱殺菌釜のことなんです」。食品をパウチに入れ、このレトルトで殺菌することで、保存料も必要なく、安全に長期保存できるようになる。「うちがレトルトの機械を導入したのが1975年で、かなり早かったですよ」
 当初は、ファミリーレストランなど外食産業向けに業務用カレー・スープのレトルト食品を開発製造。全て顧客別の味作りをしていたそう。それが重宝され、工場を移転・拡張しながらレトルト食品一本に。その後、業務用から小売用商品にシフト。とはいっても、他社のプライベートブランド(PB)商品が主で、本格的に自社ブランド商品を出すのは東日本大震災後だ。
 今では、開発チームがインドに通って誕生したインドカレーシリーズや、産休明けスタッフの発案によるこどもシリーズなど、おいしさと安心にこだわった商品は100品目を数える。
 「レトルトは圧力鍋のようなもので、煮込み料理に向いているんです。まだまだおいしいものができますよ」と斎藤室長はにっこり。「へえー、おいしく煮込んで殺菌もされるなんて、レトルトで一石二鳥ですね」
 そのレトルトを見せてもらえることに。真っ白の衛生服に身を包んだいやすこは、宇宙飛行士さながらに工場内を浮遊、いやいや、見学する。ロータリー式の充填(じゅうてん)機では、パウチが開かれ、具材とルーが充填され、密封。そしてレトルトへ。レトルトはピカピカの筒状の巨大釜で、内部ではシャワー式の熱水が出て、一度に3000パックも加圧加熱殺菌されるのだ!
 銀色に輝くハイテク機器が並ぶ製造現場は宇宙船のよう。それでも数種の具材をバランス良く計量したり、検査したりするところには、人が配置されている。「人の目と手を大切にしています」と斎藤室長。説明してくれるスタッフ、すれ違う皆さんの穏やかな笑顔も含めて、おいしい味が充填されているに違いない。
 この日製造されたのは、地元の震災復興のために登場した岩沼係長カレーの秋バージョン。岩沼市のキャラクター岩沼係長のマラソン姿が描かれたパッケージの中身は、鶏肉とごぼうのカレー。ルーにはなんと、みそや練りごまも入っている。
 わくわくしながら口に運べば「うーん、ごぼうと鶏肉って合うねぇ」「まろやかにして、スパイシー」。元気がじわじわっと、テンションも上がり、「私たちもマラソンする!?」と、2人は爽快な秋へまっしぐらだ。

◎世界最初は「ボンカレー」

 レトルト食品とは、プラスチックフィルムや金属箔(はく)をラミネート加工したフィルムを用いた気密性の高い袋(パウチ)に、食品を封入し、加圧加熱殺菌釜(レトルト)で殺菌したものをいう。
 殺菌釜は1917年にフランスで開発された。レトルト食品の研究は欧米が先行し、特に米国で軍用ないし宇宙食として開発が進められた。そんな中、世界で初めてレトルト食品を商品化したのが、68年、日本で発売された大塚食品のボンカレーである。
 翌69年に打ち上げられた月面探査船アポロ11号にレトルト食品が積み込まれ、認知度が高まった。
 現在、日本におけるレトルト食品の品目数は500以上。生産量の約4割はカレーが占めている。手頃な価格のレトルトカレーから、レストランの味を楽しめる高級レトルトカレーまで、その幅は広がり、さらに高齢者家庭での需要の伸びも加わって、昨年、売上額においてレトルトカレーはカレールーを超えている。



 土地には、その土地ならではの食があります。自他共に認める「いやすこ(仙台弁で食いしん坊のこと)」コンビ、仙台市在住のコピーライター(愛称「みい」)とイラストレーター(愛称「画伯」)が、仙台の食を求めて東へ、西へ。歩いて出合ったおいしい話をお届けします。


2018年09月10日月曜日


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