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<震災7年半>検証・復興関連予算(1)住まいと心/支援縮小、自立は遠く

退去が進み、空室が目立つ仮設住宅。将来が見通せず、行き場のない被災者もいる=石巻市南境

 東日本大震災から7年半が経過し、政府が2020年度までと定めた10年間の復興期間は残り4分の1を切った。19年度までの復興関連予算は総額35兆円を超える見通しだが、被災者の生活再建は思うように進まず、滞ったままの事業も少なくない。財政支援の区切りが迫る中、足元の復興実感度との乖離(かいり)は広がっている。(5回続き)

 カーテンが外され、室内の畳が日焼けで赤茶けている。野外には、クモの巣だらけのベンチが放置されたままだ。
 石巻市南境にあるプレハブ仮設住宅の第4団地。本年度末の閉鎖に向けて退去が進む。入居者は整備戸数の3割に当たる32戸63人に減った。
 世話役人代表の佐々木智恵さん(50)は来年3月、災害公営住宅へと移る。当初は自宅の再建を目指したが、年齢を考えるとローン返済は厳しい。市内は抽選から漏れ、東松島市への引っ越しを余儀なくされた。
 長引く仮設暮らしで「いつまでいるの」「家賃払わないから楽だね」と批判も受けた。「残っているのは何かしら理由を抱え、将来を決めかねている人だ」と内実を明かす。

■今も仮設生活

 宮城県内で最大の被災地となった同市の仮設にはピーク時で1万6788人が入居した。現在は659人(3.9%)に減り、市は134あった団地を本年度中に17まで集約する。
 被災3県の災害公営住宅は、東京電力福島第1原発事故の帰還者向けを除き9割が完成した。高台移転や自立再建も進む一方、今も行き先が決まらず、仮設に身を寄せる被災者がいる。
 佐々木さんは災害公営にも足を運び、悩みなどに耳を傾ける。マンションタイプの建物は近所付き合いが希薄で、ある高齢女性には「仮設に帰りたい」と泣きつかれた。「住まいの安定と心の復興は別だ」と複雑な思いを抱く。
 国は11〜17年度、被災者支援に2兆961億円(6.3%)を投じた。避難所や仮設住宅整備など11年度の1兆2244億円をピークに、17年度は10分の1以下の969億円に減った。被災者への生活再建支援金(累計約3200億円)は宮城で基礎支援金の受け付けが終了し、再建方法に応じた加算金も大部分で来年4月に期限を迎える。
 財政面の被災者支援は一区切りを迎えつつあるが、生活再建に向けた現場は難題と直面する。誰にもみとられず亡くなる「孤独死」は17年までに宮城176人、岩手59人、福島88人に上り、仮設から転居した先の災害公営で増えている。

■深刻な相談増

 保健師や医師による「心のケアセンター」への相談は3県合わせて年間約3万件に上り、減少する気配はない。宮城の福地成副センター長は「精神的な変調や家族関係など悩みの質が変わっている。NPOなどの支援者が撤退した影響が大きい」と指摘する。
 センターの職員体制は福島を除き縮小傾向にあり、各県年間約4億円に上る運営費は21年度以降、めどが立っていない。被災者の見守りやコミュニティーづくりなどソフト事業を一本化した被災者支援総合交付金も、予算ベースで18年度は190億円と創設当初の16年度から30億円減った。
 岩手副センター長の大塚耕太郎岩手医大教授は「一度の相談で解決しない深刻な事例が増えており、長期的アプローチが必要だ」とサポートの継続を求める。
(報道部・桐生薫子)

[プレハブ仮設住宅] 被災3県で計5万2879戸整備され、ピーク時には宮城5万3301人、岩手3万1728人、福島3万3016人が入居した。今年8月末時点の入居者は宮城1151人、岩手3241人、福島1231人。国は宮城、岩手分を2020年度までに解消する方針を示している。


2018年09月12日水曜日


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