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<震災7年半>「眠れない」 災害公営住宅の入居者、6割に睡眠障害の疑い

 東日本大震災で被災した仙台市若林区の住民を対象にした東北大の調査で、災害公営住宅の入居者のうち、6割に不眠や中途覚醒など睡眠障害の疑いがあることが分かった。日中の活動や地域との関わりが乏しい傾向も顕著で、孤立によって健康を悪化させつつある現状が浮き彫りになった。
 若林区のプレハブ仮設住宅に居住した被災者の健康状態などを追跡する調査の一環で、東北大が2017年10月に実施。523人から回答を得た。
 内訳は、209人が自宅を自主再建し、123人が災害住宅に入居。101人が防災集団団地に移転、65人が震災前と同じ自宅を補修するなどし、25人は賃貸住宅などで暮らす。
 居住区分別で分析した睡眠状況の結果はグラフの通り。「眠れない」「夜間に目が覚める」など睡眠障害の「疑いあり」「やや疑いあり」とされた割合は、災害住宅が計60.9%で最も高かった。
 生活状況は、外出の頻度を「ほぼ毎日」と回答したのは災害住宅で56.9%。集団移転(68.3%)や、大半が一戸建てに住む自主再建(65.1%)を10ポイント前後、下回った。地域のつながりが「とても強い」とした割合も災害住宅は12.2%で、他の半分程度にとどまる。
 研究チームは「(災害住宅の入居者は)体を動かさず、閉じこもりがちになって睡眠障害を招いている可能性がある」と指摘。居住区分別の平均年齢はいずれも60歳前後で大きな差はないため「集合型の災害住宅は周囲の声が聞こえにくく、つながりを築くのが難しいのではないか」との見方を示す。
 暮らしが「大変苦しい」との割合も災害住宅が22.8%で最多。自主再建(7.2%)や集団移転(4.0%)を大幅に上回り、経済問題を含む複合的なストレスが睡眠や健康に影響を与えているとみられる。
 研究チーム代表の東北大大学院医学系研究科の辻一郎教授(公衆衛生学)は「震災から7年半を経ても、被災の影響は現在進行形だ。孤独死や要介護度の悪化、当事者の諦めにつながらないよう、きめ細かい支援の長期継続が不可欠だ」と強調する。


2018年09月12日水曜日


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