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<金井神ほうき>後世につなぐ クリエーター集団がオブジェ制作、消えゆく伝統価値問い掛ける

金井神ほうきのオブジェで地域の伝統の価値を問い掛ける村上さん(右)らアメフラシのメンバー
オブジェに使われている市民提供の金井神ほうき

 山形県長井市の現代アーティストの村上滋郎さん(35)が地元クリエーター仲間と結成したアート集団「アメフラシ」が、200年以上の伝統がありながら、後継者不足で出回らなくなった「金井神ほうき」をモチーフにした大型オブジェを制作した。山形市内で開催中の「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2018」で展示され、地方の衰退とともに途絶えていく伝統の価値を問い掛けている。

 東北芸術工科大に展示されたオブジェのタイトルは「かないがみほうきのこと」。天井から約200本の金井神ほうきがつるされ、その下にかつて栄えた最上川舟運文化の象徴でもある木舟のレプリカが無造作に置かれている。大半のほうきが市民から提供されたものだという。
 逆三角すいにつるされたほうきの束は、少子高齢化が進んだ人口ピラミッドと衰退する地方を比喩的に表現し、消滅を象徴する木舟がそれを受け止める。
 グループの代表を務める村上さんは「消えゆくほうきを載せた舟はどこに向かうのか? 不安定なものを不安定な形で表現した」と解説する。
 金井神ほうきは、長井市金井神地区で農閑期の副業として江戸時代に始まり、長く市民に愛用されてきた。数十年前まで約20人の作り手がいて最盛期には年間1万本作られたが、高齢化などでほぼ途絶えている。
 アメフラシのメンバー5人は昨年、保存活動を開始。古老から技術を教わり、分けてもらったホウキモロコシの種を育ててほうきを再現。活動の様子は手記や動画、イラストなどにまとめ、アーカイブとして保管している。
 村上さんは「このまま消滅してしまうには、あまりに惜しい伝統技術。資料をしっかり残していれば、今後、ほうき作りに取り組む人たちに技術をつなぐことができる」と話す。展示は24日までの金曜から日曜と祝日。


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2018年09月13日木曜日


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