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<震災7年半>検証・復興関連予算(4)遅れる計画/調整が難航 影響連鎖

区画整理事業の工事が続く内湾地区。完成時期は当初計画より2年の遅れが決まっている=気仙沼市南町

 東日本大震災から7年半が経過し、政府が2020年度までと定めた10年間の復興期間は残り4分の1を切った。19年度までの復興関連予算は総額35兆円を超える見通しだが、被災者の生活再建は思うように進まず、滞ったままの事業も少なくない。財政支援の区切りが迫る中、足元の復興実感度との乖離(かいり)は広がっている。

 「復興のシンボル」とされてきた事業がつまずいている。
 気仙沼市大島と本土を結ぶ架橋事業。宮城県と市が復興予算で整備する関連事業はいずれも来春の架橋開通に間に合わない。約6億円を投じて市がオープンを目指す観光拠点は当初計画から1年近く遅れ、橋を含む8.0キロの県道整備(約220億円)は一部区間の完成が2020年度までずれ込む。

<複数事業停滞>
 市は、架橋が開通した直後の1日当たり交通量を約1万台と試算する。気仙沼大島浦の浜商店会長の菅原弘さん(64)は「橋ができても道路が狭く、施設もなければ観光客を取り込めない。死活問題だ」と憤る。
 拠点整備には防潮堤(海抜7.5メートル)など県の事業が複雑に絡み合う。
 島の県道工事で出る土を防潮堤の背後地造成に使う計画だったが、県道工事が地権者との交渉や調整に手間取り停滞。土を確保できなくなり、連鎖的に市が目指す拠点整備も遅れた。
 市、県の担当者は「事業を進める中で、想定外の事態に直面することは多かった」と口をそろえる。
 国は防潮堤や道路整備などハード事業中心の「住宅再建・復興まちづくり」に2017年度までに計10兆9383億円を支出。被災地に巨額の予算が投じられたが、合意形成の難航や資材不足などで工期が遅れるケースが目立つ。
 気仙沼市の場合、担当部署ごとに震災復興計画(11〜20年度)の進行状況を自己評価した結果、17年度下半期の「復興の速度」は194事業のうち約3割の54事業が「計画より遅れている」だった。

<打ち切り懸念>
 震災前に市の「顔」としてにぎわった内湾地区。市は国の復興交付金を活用し11.3ヘクタールで区画整理事業を進めるが、当初18年度末の完成予定は2年遅れる見通しだ。被災建物の基礎の撤去や道路整備に伴う水道、電気工事との調整などが予想以上に時間を要したという。
 街ができなければ、被災事業者の再建は軌道に乗らない。
 津波で店を流された飲食店の男性店主(54)は今年3月、地区内にできた共同店舗で営業を再開した。仮設商店街の時に比べて毎月の売り上げは2倍以上に増えたが、家賃は以前の5倍に上がり、内装工事に2000万円近くかかった。資金繰りは厳しい。
 店舗前の道路工事は来春まで続く。男性は「新たな工事が始まるたび、観光客向けの駐車場の位置も変わる。今は我慢」と漏らす。
 復興庁や財務省は被災自治体の担当者から聴き取りするなどして、復興期間終了後の21年度以降に繰り越す可能性がある事業の精査を始めた。国の財政支援打ち切りを心配する自治体は少なくない。
 菅原茂気仙沼市長は「復興計画にたった1行で書かれた小さな事業であっても難航することがある。現場の事情を考慮し、認めた復興事業は最後まで支えてほしい」と注文する。
(気仙沼総局・大橋大介)

[復興交付金]被災自治体を支援する目的で国が創設。高台への集団移転や道路、災害公営住宅の整備などに充てられる。自治体が出した計画を復興庁が審査し、配分先を決める。交付された累計額は3兆9383億円。額は減少傾向で、今年6月の第21次分は過去最少の52億円だった。


2018年09月15日土曜日


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