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<骨髄移植>足りない 命つなぐ人材 「調整役」コーディネーターの応募低調 宮城、山形は希望者ゼロ

日本骨髄バンク東北地区事務局で事務局員と打ち合わせする小原さん(左)=仙台市青葉区

 骨髄移植などの造血幹細胞移植を待つ患者と提供者(ドナー)の連絡調整を担うコーディネーターについて、日本骨髄バンク(東京)が6月に始めた宮城、山形両県の募集に応募者がなく、8月末だった締め切りを今月21日に延期した。バンクは「コーディネーターは骨髄移植に欠かせない。社会貢献に協力してほしい」と呼び掛ける。
 東北では宮城、秋田、山形、福島の各県で、それぞれ若干名を募集した。募集期間内の応募は宮城と山形はゼロ、秋田が1人にとどまった。事前にマスコミに取り上げられた福島では10人が集まった。
 同時に募集した他地域でも山口、香川、愛媛など6県に応募者が現れず、期間を延長している。
 コーディネーターは医師らとドナー、候補との連絡役となる。ドナーや家族に骨髄採取手術の説明、意思の確認なども行う。ドナーや医師らの負担軽減などにつながり、円滑な移植に不可欠な存在となっている。
 バンクによると応募が低調な背景には、活動件数に応じて報酬が決まるため、収入が不安定になるという現状がある。ドナーや医療機関などに時間を縛られることも要因の一つという。
 東北のコーディネーターは9月現在、青森3人、岩手2人、宮城5人、秋田2人、山形3人、福島3人。全国では約170人おり、女性が9割。多くは兼業で、看護師など医療関係に従事した経験を持つ。
 バンクのドナーコーディネート部の芝野聖子さん(48)は「コーディネーターが足りずにドナーとの調整が遅れると、救える命が救えなくなる。移植を待つ多くの患者のために役割を理解し、応募してほしい」と話す。
 原則25歳以上の健康な人が対象。連絡先は骨髄バンクのコーディネーター養成研修会係03(5280)2200。

◎ドナーと患者の懸け橋に/宮城のコーディネーター

 造血幹細胞移植に欠かせないコーディネーター。ドナーの厚意を生かすため、患者や医師らとの調整に当たる。時間的制約は大きいが、命を支えるチームの一員としてやりがいがあるという。宮城県内で活動する一人、村田町の保育士小原美和さん(44)は「採取した骨髄を病院側に提供し終えたときは、ほっとする」と話した。
 コーディネーターになりたての2013年7月ごろ。初めて担当したドナー候補の骨髄が患者に移植されることが決まった。手術後のドナーの言葉が忘れられない。
 「無事に患者に提供できてよかった」
 患者と白血球の型が適合し、多くの候補からドナーに決まるのは5%ほど。小原さんも先輩らの力を借りながら、移植を待ち続けた患者の命をつなげられた安堵(あんど)感をかみしめた。
 小原さんも元ドナー。移植を前にした12年、コーディネーターと接した。骨髄採取や採取後などに不安があったが、誠実に悩みに答えてくれたという。
 「医師ではないが、ドナーと患者の懸け橋として命を救う活動に関わりたい」と、12年に応募し、13年に活動を始めた。
 受け持つドナー候補は年60〜70人。本業も忙しいが、勤め先や家族の理解もあってコーディネーター業務を優先できている。
 ドナーとの調整は気を使う。候補に選ばれてから採取手術が終わるまで約4カ月。順調と思っていても、ドナーから辞退の申し出を受けたこともある。
 「何がよくなかったのか」。東北のコーディネーターによる会議や研修に成功や失敗の事例を持ち寄り、自身の仕事を振り返っている。
 今まで関わったドナー候補は284人。健康診断などで絞られ、38人が提供に至った。「骨髄を採取する手術に対するドナーの不安は大きい。不安を解消しながら一緒に進んでいく」と強調した。


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2018年09月15日土曜日


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