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「宮城県ゆずり葉の会」心支え30年 介護者高齢化で「家族亡き後」課題

阿部さん(左)の献身的な介護で回復した憂太さん。会が2人を支える=10日、仙台市太白区

 交通事故などで脳に重い障害を負った遷延性意識障害の患者家族でつくる「宮城県ゆずり葉の会」が発足から30年を迎えた。同障害で全国最初の家族会は孤立しがちな患者家族を支え、行政を動かす「てこ」の役割も果たしてきた。近年は介護者が高齢化し、「家族亡き後」への対応が課題となっている。
 会員は県内のほか岩手、山形、福島各県の約50人。月1回の例会で近況を報告したり、年1回程度開く講演会に医療や介護の専門家を招き、最新の知見と技術を学んだりしている。
 副会長の阿部順一さん(53)=仙台市太白区=は、2004年に交通事故で重い意識障害を負った長男憂太さん(32)を在宅介護するため、10年8月に郡山市から転居した。見知らぬ地で寄る辺となったのが同会だった。
 「在宅介護を始めた当初は背負うものが多過ぎ、笑顔すら出なかった。そんな時に支えてくれた会の存在は大きかった」。阿部さんは振り返る。
 会の発足は、宮城県が全国に先駆けて創設した遷延性意識障害者治療研究事業と深く関わる。1988年、事業縮小にかじを切ろうとした県に再考を促すため、患者家族が設立した。
 事業は維持され、2017年度は患者52人の家族に計約5400万円が扶助された。近年は脳出血などで重度障害を負った高齢患者が目立ち、県疾病・感染症対策室は「交通事故被害者支援という当初の趣旨が薄らいでいる」との見方を示す。
 会長の樋渡晃さん(55)=太白区=は「会と事業は互いを守り合ってきたが、時代に即した見直しの必要性も感じる。介護家族は高齢化しており、患者が安全に生きていける制度や施設の整備が必要だ」と話す。
 会は10月6日午後2時半から、仙台市青葉区のTKP仙台カンファレンスセンターで、再生医療に取り組む東北大大学院医学系研究科の出沢真理教授の講演会を開く。参加無料だが事前申し込みが必要。連絡先は会の事務局022(308)5080。

[遷延性意識障害者治療研究事業]交通事故死者が激増した1970年前後、事故で重い障害を負う人も増えたため、全国初の救済事業として宮城県が73年に創設した。家族支援や患者の床擦れ予防などを目的に患者1人当たり日額2900円を治療研究費名目で医療機関などを通じて家族に支給するほか、医療費の自己負担分なども助成する。仙台市は県事業に上乗せする同種事業を74年に始め、福島県なども実施している。


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2018年09月18日火曜日


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