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野生キツネ、餌やりしないで!宮城・大和で相次ぎ目撃、人に慣れ本能失いかねず

路肩に現れた2匹のキツネ=14日午後6時ごろ、宮城県大和町吉田
取材翌日、通行人が与えたとみられるパンを食べる様子が確認された=15日午後4時ごろ(千葉さん提供)

 宮城、山形県境の船形山(1500メートル)に近い宮城県大和町吉田の県道で「野生のキツネが通行人から餌を与えられている」との目撃例が相次いでいる。パンや果物などの味に慣れたとみられ、現場に行くとキツネの方から寄ってくる状況だ。餌を探す野生動物本来の能力を奪いかねず、人との不用意な接触による交通事故やキツネの感染症の恐れも。地元関係者は餌やりをしないよう訴えている。(富谷支局・藤田和彦)

 「いた、いた」。14日午後6時ごろ、つづら折りが続く県道升沢吉岡線を通った記者の車の前方数十メートルに2匹のキツネが現れた。
 ゆっくり近づいて車を止め、ドアを開ける。カメラを構えてもキツネは逃げない。路肩から道路中央に寄って来て、物欲しそうな様子で記者を見ている。
 「クラクションを鳴らしても逃げませんよ」と同行した大和町の会社員千葉文彰さん。宮城北部森林管理署の森林パトロール員を務める。人が来たら餌をもらえると思っているといい「野生の鋭さが感じられない。哀れにも思える」と表情を曇らせる。
 毎週、船形山に入る千葉さんがキツネへの餌付けに気付いたのは8月下旬。県道上でパンの切れ端を食べる姿を目撃し、その後も同じ所にスイカやうどんなどの食べ残しがあるのを見た。山奥の現場にはあり得ない光景。千葉さんは餌やりの痕跡とみている。
 仙台市泉区の森林パトロール員我妻佳子さんも8月末、人に寄ってくるキツネに出合った。「車にも平然と近寄ってきて驚いた。スピードを出す車やオートバイにひかれる危険があるし、キツネをよけようと急ブレーキをかけて起きる追突事故も心配」と言う。
 2匹は体長50センチ程度。千葉さんによると、今年生まれた子ギツネらしい。このまま人の与えた食べ物に慣れれば、雑菌への抵抗力が弱まって感染症にかかりやすくなったり、人が来なくなる冬に餓死したりする可能性もあるという。
 千葉さんは「かわいい子ギツネに食べ物をやりたくなる気持ちも分からなくはないが、キツネ、人間双方にとって良くない」と強調。「あくまでも野生動物と人間は一線を引くべきだ」と話す。


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2018年09月19日水曜日


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