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<変わる介護食>高齢県・秋田(中)困惑 規格混在、連携へ模索

目に付きやすいよう薬局の店頭に置かれた介護食。消費者の抵抗感を和らげる工夫が求められる=秋田市

 全国最速で高齢化が進む秋田県で、介護食にまつわる取り組みが活発化している。「スマイルケア食」と呼ばれる新しい介護食の普及が進み、独自開発した食品を飲食店で普及させる市民団体も始動した。国が推進する在宅医療・介護で重要な役割を果たすと期待される介護食。食べる幸せを人生の最期まで味わえる社会を目指し、模索を続ける現場から展望を探った。
(秋田総局・鈴木俊平)

<手抜き感に抵抗>
 秋田市の主婦中沢恵子さん(73)は、いつもスーパーの商品棚の前で戸惑ってしまう。嚥下(えんげ)障害を抱える夫(76)との食事に介護食を取り入れようと考えるが「病状や体調に合う商品が分かりにくく、購入後に何度も後悔した」と悩む。
 介護食は民間の異なる商品規格が混在し、その定義が統一されていない。
 日本介護食品協議会(東京)が定めた「ユニバーサルデザインフード(UDF)」をはじめ、イーエヌ大塚製薬(同)の「あいーと」、旭松食品(大阪市)の「やわらか百菜」などが独自に規格を設ける。
 軟らかさや粘りの度合いなど似通う項目もあるが、それぞれが定めた区分に分類される。分かりやすさを求めた規格が、かえって戸惑いを生んでいる感は否めない。
 65歳以上の高齢者は2025年までに3600万人を超えると推計される。国は増え続ける社会保障費の削減に向け、在宅での医療介護を推進し高齢者の「自立」へとかじを切る。
 こうした動きの中で拡大する介護食市場。ただ、商品が店にあれば売れるという保証はない。規格の混在による分かりづらさに加え、調理の手間を省いた商品に「手抜き感がある」と抵抗感を抱く消費者も多い。
 介護食品の普及啓発活動を展開する食naviステーション(秋田市)の木村まゆみ代表は「利用する側の不安や疑問を解消する『媒介者』の存在が不可欠になっている」と言う。

<顔見える関係に>
 秋田県内で12の薬局を展開するピー・アンド・エス(秋田市)は、薬剤師のほかに栄養士を配置し、患者の病状や体質に応じて介護食を交えた栄養指導を行う。在宅高齢者向けに医師らと自宅を訪ね、介護食の作り方も教えている。
 秋田県栄養士会の谷口典子理事は「顔の見える関係を築けば抵抗感も和らぐ。調理が負担になる高齢者にとって介護食は大きな支えになるはず」と語る一方、「医療施設などの食事になじめず介護食を拒む高齢者も少なからずいる」と明かす。
 病院や高齢者施設の介護食は各施設で作り方や形態が異なる。利用者が施設を移る際に情報共有が不十分で、食欲をそいでしまうケースも多いという。
 秋田県栄養士会は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の基準を元に独自の食事形態表「A−デザイン」を作成。材料の大きさやとろみ具合などを17段階に細かく分類した表を関係機関に周知している。
 谷口理事は「増え続ける高齢者の自立には、家族のほか医療介護の関係者の連携の在り方が問われている」と強調する。


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2018年09月19日水曜日


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