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<南北首脳会談>朝鮮戦争の痕跡なお 分断の象徴、観光地の顔も 韓国・非武装地帯を歩く

国内外から多くの観光客が訪れる都羅山駅。統一が実現すれば、南北交流の「玄関口」となる

 南北首脳会談が18日、北朝鮮の平壌で始まった。朝鮮戦争の休戦協定締結から今年で65年。南北融和の機運が高まる中、駐仙台韓国総領事館の招待で、分断の象徴とされ、今も戦争の痕跡を残す韓国の非武装地帯(DMZ)を訪ねた。(報道部・馬場崇)

 ソウル中心部からバスで約1時間。北朝鮮の楽曲「イムジン河」で知られる臨津江(イムジンガン)が眼前に広がった。川に架かる「統一大橋」には検問所があった。
 周囲は黄金色に染まった田園風景が広がり、案内板に「板門店まで9.5キロ」の表示。民間人統制区域に入る。腰に拳銃を携帯した韓国軍兵士がバスに乗り込み、乗客のパスポートを一人一人確認していく。車内に緊張感が走る。

<協定の日付 壁に>
 検問所を通過し、北朝鮮を一望できる都羅(ドラ)展望所に向かった。道路脇に立つ「地雷注意」の看板が目を引いた。山中には今も地雷が埋まっており、大雨時の土砂崩れで流出することがあるという。
 展望台からは南北経済協力の象徴とされながら、2016年2月に操業を中止した開城(ケソン)工業団地、北朝鮮が農村政策の成功を誇示するために造った「宣伝村」の機井洞(キジョンドン)が見えた。有料望遠鏡をのぞくと故金日成主席の銅像や警戒所が見えたが、人影はなかった。
 次に訪ねたのは北朝鮮が軍事境界線を越えて韓国側まで掘ったとされる「第3トンネル」。地下トンネルはこれまで計4カ所発見され、第3トンネルは1978年、ソウルまで約50キロの場所で見つかった。
 長さ約1.6キロ、幅、高さ共に2メートル。完全武装した北朝鮮兵士3万人が1時間以内に移動できるという。壁には採れるはずのない石炭が塗り付けられていた。偽装工作とみられる。
 トンネル最終地点の壁には休戦協定が結ばれた日付「1953 7 27」が刻まれ、締結からの日数を記す電光掲示板が置かれていた。訪ねた15日の数字は「23792」だった。

<鉄道連結に備え>
 DMZは観光地としての顔も持ち、国内外からの観光客が多い。ソウルと北朝鮮の新義州を結ぶ京義線の「都羅山(ドラサン)駅」。北に向かう線路は止まっているが、構内には「南北出入境管理事務所」「平壌行き」の案内表示があり、将来の鉄道連結に備える。
 社員旅行でDMZを訪れたソウル市の会社員崔知雄(チェジウン)さん(34)は「もともと同じ民族。分断は良くない。これまでと違う雰囲気を感じており、いい結果が出るのでは」と首脳会談に期待を寄せた。

[非武装地帯(DMZ)]1953年の朝鮮戦争休戦協定に基づき、約250キロの軍事境界線を中心に韓国、北朝鮮側にそれぞれ幅約2キロずつ設定された緩衝地帯。北側は北朝鮮軍、南側は韓国軍と在韓米軍による国連軍が警備する。


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2018年09月19日水曜日


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