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<福島知事選 課題の現場>福島空港、低空飛行 利用客はピークの3割 業績回復へ視界不良

搭乗者数の低空飛行が続く福島空港

<定期便2路線>
 国内線ロビーの一角に、ウルトラマンの像が立つ。地元・須賀川市出身で「特撮の神様」と呼ばれた故円谷英二氏にちなんで設置された。
 そこには2009年1月まで、日本航空のカウンターがあった。
 「日航が撤退したため、今はイベントスペースとして使っている」。福島県の担当者が苦笑い交じりに打ち明ける。
 開港25周年を迎えた福島空港(須賀川市、福島県玉川村)。福島県が運営する空の玄関口が低空飛行にあえいでいる。
 同空港を発着する旅客機の搭乗者の推移はグラフの通り。17年度は約26万人で、ピークだった1999年度(約76万人)の34%に落ち込んでいる。
 航空法改正(00年)で事業者間の競争が激化。運航路線の見直しが相次ぎ、福島空港でも福岡便や名古屋便などが廃止された。
 事態はさらに悪化。09年の日航撤退に続き、東日本大震災後は上海便とソウル便が運休した。国内外で計10路線あった定期便は現在、札幌(新千歳)と大阪(伊丹)の2路線だけだ。
 周辺の空港に乗客が流出していることも響く。福島市からは仙台空港に乗客が流れている。市内の旅行代理店の関係者は「就航数が多い仙台の方が人気。窓口に訪れる市民の6、7割は仙台を希望する」。会津地方では新潟空港、いわき市では茨城空港と乗客の争奪戦を繰り広げる。

<県財政に負担>
 空港の搭乗者減・便数減は、県財政にも重くのしかかる。
 着陸料収入などから維持管理費を引いた収支は毎年5億円程度の赤字。県の一般会計から穴埋めをしてしのいでいる。利用促進のために毎年1、2億円を一般会計から支出し、団体旅行に対する助成などを行っているものの、抜本的な解決につながってはいない。
 このまま赤字を垂れ流す「お荷物」となるのか、それとも業績のV字回復を果たせるのか。

<県域越え対策>
 11年度に県が設置した「福島空港に関する有識者会議」で座長を務めた北海商科大の田村亨教授は「福島空港の状況は厳しいものの搭乗者数は下げ止まっている。アジアの格安航空会社(LCC)の路線を誘致したり、北関東の住民の利用をもっと促したりすれば、業績は回復するはずだ」と強調する。
 その上で「福島空港単独での赤字解消には限界がある。北海道では新千歳を含めた7空港を一括民営化する動きもある。福島を含む東北の空港が、県域を越えて一体となり、旅行客を誘致する取り組みを進める必要がある」と指摘する。
(福島総局・神田一道)

[福島空港] 1993年3月20日開港。東北の唯一の空白県解消へ、70年代から整備の機運が高まっていた。着工は88年、総事業費は約286億円。滑走路は2000メートルでスタートし、2000年に2500メートルにした。3000メートルへの延長計画は02年、県財政などを理由に延期を決定。建設前の需要予測は95年度59万人、00年度79万人。東日本大震災時は救援物資の受け入れ拠点となった。


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2018年09月22日土曜日


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