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<オルレを歩く>済州島からの報告(上)結ぶ/観光けん引、人口増加

海沿いのコースを歩く利用者。眼前には雄大な自然が広がる=13日、韓国・西帰浦市

 小道や景勝地を歩き、自然や歴史、文化に親しむ韓国版トレッキングスタイル「オルレ」が広がっている。10月には東日本初の「宮城オルレ」がスタートし、気仙沼、東松島両市でコースがオープンする。国内外からの誘客や地域振興に期待がかかる中、発祥の地、韓国・済州(チェジュ)島を訪ね、オルレの理念や魅力、今後の可能性を探った。(報道部・馬場崇)

 石畳や木を敷き詰めた小道をたどる。道の脇に茂る草木が風に揺れる。眼前に広がる海岸線では、噴き出した溶岩が流れ着いて固まり、長い年月をかけて波に削られ、切り立った岩壁をつくり出している。
 済州島南部の西帰浦(ソギッポ)市で13日、オルレコースを歩いた。あいにくの天気だったが、リュックサックを背負い、雨がっぱを着たり、傘を差したりしながら歩く観光客とすれ違う。
 分かれ道には「カンセ」と呼ばれる馬をかたどったオブジェが立つ。頭の向きが進むべき方向を指し示す。所々の木の枝に結び付けられた青とオレンジのリボンも道しるべだ。
 オルレは2007年、済州島で始まった。意味は島の方言で「家へと通じる細い道」。失われていた古い道や山道を再整備し、韓国最高峰で世界自然遺産に認定された漢拏(ハルラ)山(1950メートル)をはじめとした島内の景勝地をつないだ。
 「10年前、島は過渡期だった」。オルレの創設者で、コース管理などを担う「済州オルレ」理事長の徐明淑(ソミョンスク)さん(60)が振り返る。
 気候が温暖で「韓国のハワイ」といわれる済州島。かつては新婚旅行の地だったが、海外が主流となり、にぎわいが消えた。島を訪れる観光客数は600万人で頭打ちとなった。
 島出身の徐さんはソウルで週刊誌の編集長を務めていたが、気分転換で訪れたスペインで巡礼の道に感銘を受けた。仕事を辞め、古里を見つめ直し、オルレを一からつくり上げた。
 点在する資源を小道で結んだオルレ。1コースの距離は10〜20キロ、所要時間は3〜6時間。ゆっくり、のんびりと自分のペースで歩き、五感をフルに使って自然と文化、食を楽しむスタイルが、国内外から観光客を呼び込む。
 現在は島を1周するように26コース、計約425キロが設定されている。07年は3000人だった利用者も、近年は年間の1コース完走者が約75万人、訪問者は約200万人に達する。
 オルレがけん引する形で、島全体の観光客は13年に年間1000万人を突破。17年は1475万人となり、ハワイ(938万人)などを圧倒する。移住者も急増し、10年前約54万だった人口は69万になった。
 済州観光公社海外マーケティング処の呉基雄(オギウン)さん(29)は「オルレをきっかけに移住した人も多い」と指摘。「オルレは今や世界ブランド。ブランド力を生かし、海外向けPRに力を注ぐ」と意気込む。


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2018年09月23日日曜日


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