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<睡眠時無呼吸症候群>停電時の不安解消 無給電で三晩稼働 岩手医大など充電式治療器を開発

岩手医大などが開発したSASの新治療機器

 充電して使用する睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療機器を、岩手医大などの研究グループが開発した。従来型はコンセントが必要なことから、東日本大震災では停電によって多くの患者が治療の中断を余儀なくされた。全国で相次ぐ大規模災害の常備品として普及を目指す。
 SASの治療機器はチューブから鼻マスクに空気を送り込み、気道が閉塞(へいそく)するのを防ぐ。グループが開発した「FLATBOX(フラットボックス)」は充電可能なリチウム電池を内蔵し、無給電で三晩稼働する。
 持ち運びの利便性を高めるため、本体は縦25センチ、横19センチ、奥行き5〜6センチの箱形とした。1.8キロと軽量化し、スマートフォンで起動する。
 岩手医大は震災後、従来型を使用している県内の患者1047人にアンケートを実施。966人(92.3%)が停電を主な理由に平均三晩、治療ができなかったと回答した。
 避難所に身を寄せて機器が使えなかった33人のうち20人は不眠や頭痛、高血圧といった症状を訴え、治療中断に伴ういびきが不安で眠れなかったという人もいた。
 新機器は6月に国の製造販売認証を受け、健康保険の適用対象になった。ただ生産コストは1台当たり数十万円で従来型の10倍。現在は販売企業を探している段階だ。
 新機器の使用対象は被災した患者のほか、捜索活動に当たる消防団員や自衛隊員、救援物資を運ぶ長距離トラックの運転手らを想定している。
 開発に携わった岩手医大の桜井滋教授(睡眠行動医学)は「震災の避難所では電気が復旧した後も『個人の所有物』という理由で機器への電源供給が後回しにされた」と指摘する。
 その上で「機器は患者にとって、医薬品と同じ必需品。災害大国の日本で新機器は助ける側にも助けられる側にも役立つはずだ」と話す。

[睡眠時無呼吸症候群(SAS)]睡眠中に10秒以上呼吸が止まる状態が一晩に30回以上、または1時間に5回以上起こる。舌の根元が落ち込んで気道をふさぐことで発症する。日中の集中力低下を招き、重症化すると脳卒中や心筋梗塞を引き起こす危険性が高まる。


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2018年09月24日月曜日


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